大阪市の地方独立行政法人化問題(8)

 高井さんの講演メモの続きを。メモが断片的なので、正確でない点があると思うがお許しいただきたい。

高井(続き) 規制緩和と言えば、一般に、官が(民に)規制をかけているのを緩和すると受け取られているが、官が官を規制している、国が地方を規制しているのを緩和するためにも(構造改革特区提案が使える)。内閣府大阪市の提案を魅力的な提案と言っている。大阪市は、第10次構造改革特区に提案した。こういう目的のために、地方独立行政法人化できないのか。政令総務省、実務は文科省なので、両方に、特区提案を提出した。

 一次回答は、(文科省からは「特区として導入することには慎重な検討が必要」で、)総務省からは「指定管理者制度の活用を図るべき」とされた。
 文科省は、平成15年に、「今後検討する」と言っているのに、3年間何もしていない。これでは困るな(と思った)。総務省は、「指定管理者制度でやってくれて結構です」とのことで、(特区提案は)3回しかやりとりできないのに、1回分損したなと思った。大阪市ではすでに、指定管理者制度をやっている、やってて問題だから、(特区提案しているのに)。
 二次回答は、文科省からは「博物館制度全体のあり方に関する検討を行っているところ」ということで、ちょっと待ってちょうだい、(という回答だった)。総務省からは、「1.当該博物館の博物館法における位置づけや、2.教育委員会による関与の見直しについての検討が必要不可欠」(との回答だった。これは)現行博物館法の設置主体として、独法は認めていない(ことが問題になっていて)、設置主体として、博物館(は)できないはず、地方独法は、教育委員会所管が外れるのでは、(という指摘だった)。
 最終回答は2月28日に出た。文科省は、「博物館の在り方検討協力者会議」での報告を踏まえ、今後、「博物館制度に関する法改正について具体的な検討を行う」と回答。総務省は、「本提案に係る検討については文部科学省における検討・結論が不可欠の前提と考えられ、まずはその検討結果を受け、必要に応じ、制度改革の要否について検討を開始する」との回答で、実務との整合性を解決してから、もう1回、来てちょうだいという(話になった)。 

 「新しい時代の博物館制度の在り方について」報告の中では、「登録申請資格の設置主体の限定を撤廃」(と書かれている)。(現行法では)地独は博物館の設置主体ではないが、「新しい時代の博物館制度の在り方について」では(博物館を)誰が作ったかは問うべきではない、活動の内容は問うても、とされている。ジャッジをどういうふうにするか(が問題だ)。
 また「第3章 博物館登録制度の在り方について、(3)新しい登録基準の骨格」の中では、「経営(マネージメント)」が大事な部分になると言っている。博物館の使命達成のために「中長期的な見通しを持って」「次の計画につなげていく」次のサイクルにつなげていく、(と書かれていて、地独と整合性がある。)
 「第5章」では、「運営の選択肢を増やす観点から、地方独立行政法人の博物館を認めることは有意義」とされた。

 「新しい時代の博物館制度の在り方について」報告の意義は、大阪市の「特区提案に対する総務省の見解をクリアする方向性を示すとともに、『1経営』において計画的かつ継続的な事業運営の必要性を指摘し、」大阪市の方針である「地方独法化の意義を認めたもの」で、全面的に我々の主張が認められた、意を汲んでいただけたと(思っている)。大阪市の見解は、直営・指定管理者制度の二者択一から、新たな選択肢として地方独立行政法人制度を用意して、3つの中から選択可能にすることだ。【以下、続く】

 ご事情は察しないわけではないが、地方独法化をするためなら、何でも使おう、という感じを受けた。こう言わざるを得ないのかもしれないが。「新しい時代の博物館制度の在り方について」報告の「経営」の部分に書かれた内容が、地方独法にマッチするのは、どちらもNPMのPDCAサイクルを踏まえているから当然ではないかと思う。


(日記)朝、犬の散歩。家に戻って顔だけ洗って、近所の公民館へ投票に。日中は暑くて出る気にならないだろうから。昨日の続きの集計。“大物”は高下駄をはかせて終了。続いて、最後の試験の採点、珍訳の数々があってあまり退屈せずに終了。あとは集計と平常点の加算。今日中に片付くめどが立ったが、昨年より1〜2日遅れている。去年は、29日にロンドンに発ったようだ。夏休みが少しずつ近づいてきた。