大阪市の地方独立行政法人化問題(9)

 高井さんの講演の続きを。最後の部分で、レジュメに沿っての説明だったので、「7つの施設まとめて独法」だけしか、メモは残っていない。なので、当日いただいたレジュメの文言を使って再構成させていただく。

高井(続き) 地法独立法人制度導入で期待される効果は、一つは、「独立行政法人制度を活かした各館の機能向上」で、1.継続性の確保、2.柔軟かつ責任ある運営、3.業務方法の改善が期待できる。これに加えて、もう一つは、「複数施設を一体的に経営統合(集積)メリット」で、1.人材の有効活用、2.一元化による機能強化、3.経済性の向上などが期待できる。【高井さんの講演はこれで終わり】

 このあと、10分ほどの休憩を挟み、質疑応答が行われた。司会は井上敏さん。質問したのは、三重から来られた方(お名前聞き取れず)、そして近大の、と言われたので、高名なT先生か。神奈川大の中村先生、文環研の高橋さん、私、の5人。あえなく時間切れとなった。聞きたいことは、いっぱいあったのだが。ということで、質疑応答部分の復元を。ただし、ノートを見返しても、もはや思い出せないことが多々。不正確な部分はお許しを。

井上 発表に対する質問を。
Q1 三点伺いたい。1.指定管理者制度の導入は、地方自治体が判断するが、大阪市指定管理者制度を選んだ理由はなぜか。2.7つの博物館施設を地方独立行政法人化したいとのことだが、ゆとりとみどり振興局が担当(とのことだが、所管局の判断は?【この部分は、今、見返すと、質問の意味を忘れてしまっている】) 3.地方独立行政法人制度導入の効果は? 国の独法化に伴った課題をどう考え、どう解決しようとしているのか?

A 1.(地方自治法の改正に伴い)管理委託制度から自動的に指定管理者制度に移行した。2.局の再編は、さまざまに行われる。子ども青少年局というのもできたし、文化に関わることは、ゆとりとみどり振興局に集中させた。ゆとりとみどり振興局が所管する館は、従来は大阪城天守閣のみだった。4月に、補助執行(ということで事務が移管された)。
3.独法はバラ色ではない。実現に向け、(国立館の方に課題を)聞かせてもらった。一番よく言うのは、評価システムが複雑すぎる、これを本当にやるのか? あまりにも、中期目標が、微に入り、細に入り、そこまでやる必要があるのか。評価のために記録していかないといけないこと(が多い)。本当に必要なことを簡潔に(やれればいいのだが)。
 国有財産の館蔵品は、法人に出資(した形になっていて)簡単には売却できないよう細かい規定が(定められている)。市民の財産を出資対象にしていいのか、安易に出資対象にできない(という問題はあると思う)。評価のところと、安易に(館蔵品を)出資できない(という点が課題だと認識している)。

Q1 グループを確保(するための)上部組織、現場から(人を)抜いていく(と)予算管理(上は、)現場にとって苦しくなるのではないか。事務手続き、意思決定、煩瑣になるのではないか。

A 的を射たお尋ねだ。意志決定(の問題は、)指定管理者制度ですでに起こっている。誰が意思決定するのか、持ち株会社的イメージ。本部を大きくするイメージはない。まとめ役は本課がするが。【質疑応答は、まだ続く】

 とりあえず、ここで一旦切る。最初に質問された方(Q1と表記)は、三重県の方で、三重県で新館建設の計画があるので(このこと自体がえーっ!と個人的には思うが、詳しい経緯は知らない。三重県は、エコミュージアムにするのかと思っていたが)、非常に熱心かつ実務的に質問されていたのだと思う。三重県の知事会見を読んでみると、「今回、博物館を含む今後の施策の展開につきまして、旧来の教育委員会とかそういうことにこだわらない形で検討したいと、こういうことで生活部が主担当でやっていくと、こういうことにしたところであります」と書かれている。

 ちなみに、大阪市の「補助執行」と言うのは? この研究会に行く前に、ふと気づいたのだが、教育委員会から、ゆとりとみどり振興局に移ったということは、例えば、大阪市立自然史博物館などは、登録博物館ではなくなったのか? と「まじめに」考えた。このことも、聞いてみたかったのだが、質問の時間が足りなかった。

 会が終わってから、歴博学芸員さんに個人的に聞いてみると、なんでも、(設置)条例はまだ、教育委員会にあって、【ここからは立ち話だったので、暗記力が全くない私は詳細が復元できない】、まだ登録博物館なんですよ、とのこと。ここに、「補助執行」というマジックワードが入るのだろう。ネットで「補助執行」を検索してみると、文科省のHPにたどりついた。「事務委任」と「補助執行」の違いは?