大阪市の地方独立行政法人化問題(11)

 質疑応答の続きを。メモが追いつかず、つなぎの言葉に私の思い違いがあるかもしれないがお許しを。

中村 (レジュメに書かれた)独法のメリットB【複数施設を一体的に経営統合(集積)するメリット 1.人材の有効活用 2.一元化による機能強化 3.経済性の向上など】というのは、直接、独法からは読み取れないのでは? 職員の身分の安定性(というのはわかるが、それ以外の)メリットがあやふや。継続性以外のところ。


高井 独法のメリットではなく、集積効果だ。私たちがやろうとしていることのメリットは。個別博物館のメリット(という点では)、指定管理者の準備業務は単独でやると(コストがかかり)、独法も単独でやるとイニシャルコストがかえって高くなる可能性がある。合わせて7つ統合する効果をダブルで出していく。


中村 公務員身分はどうするのか?


A 現在の(「公務員型の地方独立行政法人」)の中に博物館は含まれていないと(理解している)。


高橋 財団プロパー保障の親心(だと思うが)、これまでの管理委託制度と同じでは? (独法化した国立博物館では組織替えがあり)筆頭は、営業開発部だ。営業開発部が一番大事になってくる。人が変わらないで、こういう改革が実現できるか? (現状では)全く営業開発できていない。館の方から企業に。スタッフ全員入れ替えしないと実現性がないと思うのだが、いかがか?


山條 どこをとっても、人的に絞り込んでいて、余裕がない。東博の総務部長と話したが、外部資金の導入(や)、博物館として何が売れるのか、資金、どこに理解を求めていくのか。長期的には、税制の見直し、クレジットをどうアピールするか。寄附を募るために余分に人件費下さいとはならない。


高橋 浅間(火山博物館)や浅虫水族館などの(事例もある)。公営企業法人で博物館を運営していくということもありえるのではないか?


山條 (その2つの事例については知らないが)、大阪城天守閣のように、博物館相当施設(でありながら)120万人の入場者があり、人件費を賄った上で、大阪市に納付している館もある。他の館では、経費の10%しか賄えないところもある。館の性格にもよるのではないか。金がかかるからいけないではない。価値をトータルで。【高橋さんの質問はまだ続く】

一旦、ここで切る。
「公務員型の地方独立行政法人」は「特定地方独立行政法人」で、役職員に公務員身分を付与することとされている。「公務員型とするか否かは設立団体の自由裁量ではなく、法文上、1.その業務の停滞が住民の生活、地域社会若しくは地域経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼす、2.その業務運営における中立性及び公正性を特に確保する必要がある、という2つの要件のいずれかに該当すれば特定地方独立行政法人、該当しなければ一般地方独立行政法人(非公務員型)というように客観的・一義的に定まることとなっている」(吉川浩民「地方独立行政法人」瀧野ほか編『行財政運営の新たな手法』ぎょうせい、2007、193頁)。

高橋さんが言及された2館を調べてみた。浅虫水族館については、次のような記事を見つけた。「浅虫水族館の職員が指定管理者に」(東奥日報、2005年12月30日)。「県の委託を受けて県営浅虫水族館(青森市、木立睦美館長)を運営する県産業振興協会の職員二十一人が、共同出資して新会社『青森水族館管理』を設立し、二〇〇六年四月からの指定管理者として引き続き管理することになった」とのこと。

浅間については、浅間火山博物館のことだろう、たぶん。ということで検索してみた。
「浅間園30年の歩み」というページがあって、ただ、これではよく分からず、さらに探索すると、「群馬県長野原町財政状況等一覧(平成17年度)」の中に、浅間園事業会計を見つけた。
ちなみに、平成19年度町長施政方針演説では、「浅間園事業の指定管理者制度導入の推進につきましては、19年度中に浅間運営審議会等で検討・協議して結論を得たいと考えております」と町長が語っている。
 浅間火山博物館という固有名詞は、ときどき耳にするのだが、なにせ、個人的には(関西人的には?)、群馬県山梨県は、“最も知らない土地”なので、何が問題(注目のポイント?)なのか、よく分からないのである。