『何でも見てやろう』

 ここ数日、持ち歩いて読み続けた、小田実『何でも見てやろう』(講談社文庫、1979。ただし単行本で最初に刊行されたのは、1961年のようだ)を先ほど、読み終えた。
 小田実さんの本は初めて読んだ。世代的なこともあるが、小田さんの存在とは、これまで、何の接点もなかった。だた、ベストセラーになったというこの本の題名だけは、知っていて、何年か前から、「何でも見てやろう」というキャッチフレーズが、私を勇気づけてくれた。
 いざ、読み始めてみると、そこに書かれていたことは、私の想像をはるかに超えていた。小田さんが、ギリシア文学を専攻していたとか、フルブライト留学生になるための面接試験など。おかしくておかしくてたまらないのだった。
 アメリカを振り出しに、船でイギリスに渡り、残りは、オスロから東京まで、通用期限1年の航空券の、「ストップ・オーバー(途中下車)」を利用して、全22カ国を回って、2年後に帰国するのである。
 前半は、ナンパの話(私にはそう読めた)が随所に登場して、小田さんはなんでこんなに女性にもてるのだろう? とか、貧乏旅行も男だからできるんだよなーとか、ため息が出たが、後半のアフリカ・アジア編は、壮絶だった。
 小田さんのこの旅行は、1958〜1960年になされたものだが、今、読んでも、全く古さを感じさせない。男だから〜というひがみは、次に読もうとしている、別の本に、エライ女性が登場しているので、私の思い込みに過ぎないのかもしれない。