バーデン州立博物館(Badisches Landesmuseum Karlsruhe)(9月5日)

takibata2007-10-06

 最後にカールスルーエ城の東側を占めるバーデン州立博物館へ行った。入り口前に、小学校の団体。特別展でエジプト展をやっているが、ドイツでエジプト展を見てもなあ、という気持ちがあり、これは後回し。

 常設展も、古代文明から始まる。展示面積も広く、いろいろ見た中で、特に印象に残ったものが二つあった。一つは、オスマントルコ関係の展示。もう一つは、クンスト&ヴァンダー・カマーの展示。

 スイスと同様、ローマ帝国ゲルマン民族の大移動、フランク王国と展示が展開していくようなのだが、このあと、オスマントルコ関連の展示がどーんと広がるので、世界史を真面目に勉強しなかった私は??になってしまった。ドイツ西部って、オスマントルコに征服されたっけ?と、その日は真剣に悩んだ。

 帰宅後、ロンリープラネット日本語版『ドイツ』(2004)で、バーデン州立博物館の項に次のような記述があるのを知った。

2階では、銃やナイフ、鞍、衣類など、17世紀以降、トルコ軍に対して行われた軍事作戦でバーデンのルートヴィヒ・ヴィルヘルム辺境伯が取り戻した興味深い戦利品が見られる。(483頁)

「取り戻した」と書かれても、展示されていたのは、どう見ても、トルコ側の調度品、武具の数々。それはともかく、考えてみれば、ドイツ側がトルコに征服されたのなら、トルコ文化を伝える展示品の数々が、ここに残るはずはない。そんな簡単なことに、その日は頭が回らなかったのだ。

 もう一つ、強烈な印象が残ったのが、“Zur Ausstellung der Kunst-nud Wunderkammer”.大きなガラスケースの中に展示されていたのは、岩石標本箱、ほら貝、骸骨、ワニの頭骨、珊瑚、貝細工、中国製の壺、鎧かぶと、油絵、彫刻、フグなど。科学以前の珍奇なものの集成で、クンスト&ヴァンダー・カマーとは、こういうものなのか、と、想像以上の雑多さに驚いた。帰り際に、“Die badische Kunst-und Wunderkammer”(1997)という小冊子を買って帰った。

 15:00カールスルーエ発、16:06フランクフルト空港着のICE104に乗る。途中駅で、隣に乗り込んで来た女性が、リュックを荷棚に上げたとたん、上からバラバラとチョコボールが降ってきた。と思ったら、それはチョコボールではなく、どんぐりだった。思わず笑う。どんぐりを拾ってあげて、よく似た人がいるんだな〜と思い、私もどんぐりを集めている、と言いたかったが、言葉が出てこない。やがて彼女は、隣でぐっすり眠り込んでいた。
 写真は、バーデン州立博物館(2007年9月5日撮影)