「今、問われる 文化施設の使命とは」(最終回)

 いよいよ、最後のQ&Aまでたどり着いた。私がおばかな質問を最初にしたので、思わぬ方向に質疑が進んだのかもしれないが、主催者側が本当に発したい問いの導火線に、もしなったのだとすれば、幸いである。パネリストの皆さんは、戸惑われたかもしれないが、お許しを。自分の質問は、当然、書き取っていないので、あとからの再現。本番は、もっと、しどろもどろだった。他の方たちの発言も、断片的にしか、書き取れていない。

原 (この)シンポジウムが、どういう結果をもたらしたいか、(・・・)、指定管理者制度がどういうものかを知ることから始めませんか?(という趣旨で開催した)。ご質問を。


瀧端 根本的なことをお尋ねするが、この会は、どこが、どなたが主催なのか? 大阪府立現代美術センターの指定管理者が、川端さんのところの、クリーンブラザーズと、レシップの共同事業体だということだが、大阪府立現代美術センターが主催者なのか? 大阪のことは詳しくないので。


熊谷 はい、主催者は私です。アートスペース虹の。「gallerism」というのは、近畿のギャラリーが集まる画廊の会が、大阪府立現代美術センター(を会場に・・・)。
 大阪府立現代美術センターが事業の見直しを行なって、これまでは、「gallerism」を現美センターと「共催」で開催していたのが、(指定管理者制度の導入に伴って)「協力」の関係になって、「借りる」に近い関係になった。
 指定管理者制度について勉強させていただいて、現場の方々の声を聞かせていただき(たいと企画した)。


【ここからは、他の方の発言だったかもしれない】
 Gallerism2007は、展覧会は現代美術センターを、このシンポジウムは、協力している場所を使わせていただいている。画廊のある任意の団体が、企画している。小さいギャラリーが、行なっている。大規模農政の中の、棚田のようなものだ。なくてもいいが、あることで潤っている。


Q 神戸でアトリエをやっている。芦屋でのNPOの一年経過の報告会を聞きに行ったが、現場の人の声が欠けていた。(学芸員さんは苦肉の答えとして)大きな作品を展示するのに、24万円かかります(と答えていた)。(今日の加藤さんは、)踏み込んだ発言をされている。芦屋では、財団時代と、現在の【直営化、NPOへの一部業務委託になってから】、収入がどのようになったか、1年契約での実収入が(いくらか言っていただきたい)。


加藤 収入は財団時代と比べて基本給が1割5分減った。残業代も減って、頭打ち(なため)サービス残業(をしている)。


Q 川端さんに伺いたい。熊谷さんが(先ほど)、現美センターで、gallerismが「共催」から、今年は(場所を)お借りしている形になった(と言われたが)、現美センターに対して、おかしいと言える人は誰なのか? 現美センターは、(大阪府の)生活文化部の(所管だが)、(「共催」を外すと決定したのは)、誰なのか? なぜ、「共催」から外れたのか? 
 事業予算の按分、文化課、指定管理のチーム(・・・)事業分担、どのように分担するのか? 
移転構想の中で、事業することができなくなる。移転構想はスタートしている。(こうした)状況の中で、スケジュールの判断の中で、前年度(の【この部分不明】)協力、スタッフの協力(が・・・)。


川端 どういうふうにバランスを取っていこうか、打診(・・・)続けていただいていたことは続けたい。指定管理者として、貸し館事業を担当している。(部屋貸しは)1年前より応募で、重なったところは基準(がある)。枠としてはある。どんな事業をするか(大阪府に【?】)報告して、OKです、やって下さい、ということになれば、無料になる。
 事業予算、貸し館収入も含まれている。(われわれとしては)協力しているつもりだ。


Q (【指定管理移行以前は】)gallerismの運営として、現美センターとして、関われるスタッフがきっちりついていた。


川端 展示場の無償はOK(だが)、そこまでが自分の権限だ。【以上で終わり】

Q&Aのところで、ようやく企画者の本音が出たのではないだろうか。会がはねてから、司会の原さんと、少しお話させていただいた。原さんは、主催者に、最初に挨拶して下さい、と勧められたそうだが、画廊の会の皆さんが、遠慮されたそうだ。私は、最初、大阪府立現代美術センターも、このシンポジウムに、てっきり関わっているのだろうと思っていた。(でも、それにしては、会場の案内に立って下さっている方々は、トイレを一緒に探して下さるなど、アマチュア的かつ大変親切で、府や現美センターの職員ふうではなかった)。この会場内に、現美センターの学芸員さんは来ておられるのだろうか、とか考えた。
 府の責任ということで言えば、本当は、この場に府の担当者も並んでほしかった。後半のフロアからの声は、指定管理者である川端さんにではなく、府に向けられるべき質問だと思うからである。
 欲を言えば、最初に主催者がこういうシンポジウムを組んだ、おそらく切羽詰まった理由を明示し、パネリストの中にも、どなたか一人入られて、質疑の部分で出たような内容を報告されればよかったのにと思う。
 12月5日に引用したように大阪府は、現美センターの移転に際して、府の学芸部門を引き上げる意図をすでに議会で話している。そのことも含めて、従来からのセンターの利用者が不安を感じているということなのだろう。これまで、このセンターの実態については何も知らなかったので、誤解している点もあるかもしれないが。でも、一般論として、こうした「施設が利用者と築いてきた固有の歴史」は、指定管理者制度を導入するか否か検討する段階で、すでに課題に上がっていたテーマなのである。
 また、現美センターの指定管理者の応募状況や選考結果を知ろうと思ったが、HP上の検索では、見つけることができなかった。府の情報公開ってどうなっているのかな?と思った。私が見つけられないだけかもしれないが・・・
 今回、このシンポジウムの記録を勝手に、ブログに書き続けたのは、“リメンバー・芦屋市立美術博物館”という意図からだった。途中から、大阪府の状況に府民として初めて興味を抱いた。シンポジウムの内容については、沖縄と長崎の件だけは、もう少し慎重かつ多面的な視点から発言していただきたいと思った。個人的には、「ふるさと財団(地域総合整備財団)」が一番気になった。
 画廊の会の皆様、司会、パネリストの皆様、お疲れさまでした。