プログラム・オフィサーのお仕事

 今日、「社会教育概論」の授業で、ゲスト講師をお招きした。講師は、NPO法人市民社会創造ファンドのプログラム・オフィサー、神山邦子さん。
 NPO法人について、市民社会創造ファンドの事業内容、プログラム・オフィサーの仕事内容やその仕事を進める上で大切なもの、実際に今、神山さんが担当しておられる助成金事業2つ(「ダイワSRIファンド」助成プログラム「花王・コミュニティミュージアム・プログラム」)を具体的にとり上げて、説明していただいた。
 プログラム・オフィサーの仕事で大切なことは、一つは、「選ぶ」ということ、もう一つは、「助成プログラム自体を創る」という点で、「社会を発展させるプログラムを創り出し、資金を投入し、成果を誘発させ、社会に還元する」ことを意識しておられるとのこと。

 午後からは、別のごく少人数の授業で、座談会ふうに、お話を聞かせていただいた。午前の講演でも興味を持ったのだが、「ダイワSRIファンド」助成プログラムでは、「スタッフの育成に資金を投入することで、援助の質を高める」ことが目指され、NPOの人件費に、助成金を充てることができる。他の多くの助成金が、人件費には使えないという課題を抱える中、「花王・コミュニティミュージアム・プログラム」でも、助成金を人件費に充てることができる。特に、「ダイワSRIファンド」助成プログラムでは、助成金の使途として、

(3)人件費・研修費・運営費等への助成を行いますが、人件費は上限180万円(平均15万円/月)とし、かつ育成支援金としての性格から、対象スタッフの年収の1/2以内とします。

とあり、また(5)では、

人件費(育成支援金)の対象となるスタッフには、以下の条件があります。(中略)
・ 既に応募団体で労働保険(労災保険雇用保険)に加入しているか、助成対象となった場合には加入すること。社会保険(厚生年金、健康保険)の加入も期待します。

と記載され、公正労働の観点が盛り込まれている点に驚いた。
 ミュージアムの話題に戻っても、運営のソフト面に、税金の投入が望めない今日、民間企業が資金を提供して、活動の支援に当たるこうした動きは、タイムリーと言えよう。もっとも、神山さんのお話では、“これまで、アーティストやミュージアム本体に出す助成金はあったが、ミュージアムを利用する人にお金を出す人はいなかったので、そこを作ってみたかった”とのこと。“利用する側に、評価する力がある人がいないと。ミュージアムを読み解く力を利用者の側が身につけていかないと”との、鋭いご指摘だった。今後のミュージアムの運命は、どれだけ利用者・市民の支持を得られるかにかかっているということなのだろう。

 私が神山さんに、ご講演をお願いしたのは、学生たちのロールモデルになっていただきたいという気持ちも強かった。こういう素敵な女性になれたらなあ・・・という点では、実は、私自身のロールモデルでもあるからなのだった。