日博協研究協議会/横須賀美術館評価委員会

 日博協の研究協議会の案内が届いていた。美術部門の会場は、なんと横須賀美術館。山梨さんの基調講演があるし、原田先生の講演もあるので、久々に食指が動く。
 それで、少し前から気になっていた、第2回 横須賀美術館評価委員会議事録を通読した。開館記念の<生きる>展について、

「芸術論以前の問題として、『学校で参観するにはふさわしくないので、次期展覧会以降として欲しい』旨の強い要望がPTAから学校へ多数寄せられる」・・・

という、ああやっぱり、という話が出てくるのだった。もう少し引用すると、

私が直接言われた実例でいきますと、最初の石内都さんの写真で引っかかる方が一番多かったようですが、それ以外にも子供が真似をするといけないということで、木村太陽さんの掃除機を使った作品や顔に袋をかぶせて息をしている作品もかなり厳しいご指摘をいただきました。ちゃんと学芸員を含めてご説明申し上げているのですが、その機会をいただけないと、なかなか真意を伝えられないというジレンマがございます。

PTAにもあきれるばかりだが、私が引っかかったのは、それに対する対応策。

・海外の美術館などでは、ああいう場によくボランティアがついていることがあるので、学芸員とは別な立場でよく解説をしてくれているというのが見受けられますが、ここではそういうのは可能性としてはどうなのですか。学芸員の方がいつも石内さんみたいな作品のところに付きっ切りというわけにいかないですものねえ。何かお考えいただいたいいのかなと思いますが。
・ボランティアなのですが、今後時間をかけて解説ボランティアという方達を育成したいと思っております。

何でここで、ボランティアなんだ!と怒り(あまりに発想が安易)。美術館での教育普及の仕事を何と考えているのだろう。こういう難しい仕事は、専門家の仕事だ。

 さて、怒りはここまでにして、この評価委員会の議事録自体はたいへん興味深い。特に泰井さんの突っ込みは冴えている。この議事録は、日本の公立美術館の抱える困難の縮図に思える。
 議事録の存在を知ったのは、フジノさんのHP(1月14日分)による。フジノさんは別の点で怒っておられて、それはそれで納得いくが、この議事録は重要な問題提起(美術館評価をどう構築していくか)を含んでいると思う。