日博協研究協議会(美術部門)(3)

takibata2008-02-26

 山梨先生のご講演のあとに、横須賀美術館副館長の原田光先生のご講演があった。私自身、すでに論文に書いたこともあって、逐一再現するのではなく、特に印象深かった点のみ、メモから復元する。

コツコツと最初からオープンに、(コレクションが)ないものはない、を前提に、ないならないなりに、どういう美術館を作れるのか(を考えてきた)。オープン(にしたが)ゆえに、(美術館建設)反対派市民の運動になった。反対派市民が周囲にいっぱいいた。それは、僕にとってはとっても面白いことで、(反対派市民は)コレクションにも関与(した)。
 鎌倉、横浜、東京へ行けばいい。美術館は、鎌倉にあればいいや、半分は、僕もそう思った。

コレクションの特色と言われると、特色はございません。たった10年、バサバサと作品を集めてきたといっても、個性的なコレクションになりえるはずがない。収集品(は)4,500点、購入は436点で、4,000点以上がいただいたもの。朝井閑右衛門が1,300点、谷内六郎が1,300点、地縁などで5〜6の大コレクションを入手して4,000点が満たされている。
 あとはポロポロ、作家からいただいたものだ。今は、個別的に、ポロポロいただくのはやめよう、(美術館の)気持ちをはっきり出して対応(したいと思っている)。

つらいところは、立派な美術館を作っちゃった。作っちゃったら、もうお金いらないね、と行政(が言うことだ)。展覧会やって、(作品を)購入することも出来ない。片腕、片足をもがれたようなもので、困難な歩みだ。
豊かな美術館と、そうでない美術館の差、格差が最大の課題で、何とかしないといけない。

横須賀美術館では、常設展示室を広く作った。やがて持つことになる膨大なコレクション、洋々たる将来を(期待して・・・)。とても並べにくい空間だが、僕はいいと思う。並べにくい場所に頑張って並べて、(他の美術館と)全然違うところが横須賀っぽいね、とか言われるほど意地通して、独特の横須賀を表現したい。

山梨さんの話は、たくさんのモノがあって、いいな、隣の町の美術館、立派な美術館があるのは、嬉しいことではないか。隣に行けば、絵、見られるから・・・ここが霞んでは具合悪いなと。
 葉山、鎌倉、横浜美術館の中で、横須賀美術館は、2〜3年で埋没してしまう。埋没だけは避けなければいけない。葉山、鎌倉、横浜と陣地争いするのではない。横須賀の常設展示(を生かして)、三浦半島文化圏を作ろうじゃないか。美術館どうしの連携、巨大美術館が持っていて、眠っているものは、群小美術館に貸し出して、十分な活用をさせていく、連携プレーをやらなければいけない。三浦半島を美術を媒介にして元気にさせることはできないだろうか。

以上が、原田先生の初日のお話の中で、特に印象に残ったところだ。

ところで、フジノさんのHP(2月22日分)を見ていたら、横須賀市長が、今度は、「国道357号と三浦半島中央道路の延伸は極めて重要であり、なんとしても実現する必要があります」と施政方針演説しているそうな。いや、三浦半島、少々不便でも、緑豊かなほうがいいと思うんですけど・・・。道路作るんだったら、せっかく肝煎りで作った美術館に、予算つけてあげて下さい。

写真は、横須賀美術館の屋上から眺めた海(2008年2月21日撮影)