日博協研究協議会(美術部門)(4)

takibata2008-02-27

 2日目(2月22日)には、大原美術館学芸課長の柳沢秀行さんと、静岡県立美術館学芸員の森充代さんのご講演、そして、山梨さん(とりあえず、今日は「さん」で統一)の司会で、「コレクションと学芸員―収集・展示、そして新たな活用法まで―」というシンポジウムが行われた。
 柳沢さんのお話も面白かった。大原美術館の歴史をたどられ、1938年、大原孫三郎氏が隠居されて以降を、「成長(第二創業)」と位置づけ、大原總一郎氏の第二次世界大戦以降の活動を紹介された。「美術館は生きて成長していくもの」という言葉を引用しつつ、大原美術館創設20周年の記念講演会(講和条約直前とのこと)の写真を投影された。絵画を2段掛け、3段掛けにした展示室の中に、テーブルを置いて座談会を開催して、その周囲を大勢の聴衆が取り囲んでいる写真だ。(こんなにびっしり、絵を掛けていたのかと驚くが、ヨーロッパの個人美術館を思い浮かべれば、当時はこれで別に当たり前だったのかもしれない。鎌近の初期は、どんな絵の掛け方をしていたのだろうか? 『小さな箱』で見る限り、そんなにぎっしりではなかったようだが)
 さて、この写真を指して、柳沢さんは、「(この当時から大原美術館は)展示場で何かすることに違和感ない」と言われた。「ほら、ここ、たばこ吸ってるんですよね」とか。
 で、高階さんが館長になられてからのことや、柳沢さんが公立館から移って来られたことなどを話された。大原美術館がほとんど収蔵庫なしに等しい状態で来たことや、コレクションの整理が出来ていなかったというのも、半分は納得、半分は驚きだった。
 アーティストinレジデンスで、「市場より安く、今、いきのいい作家の作品を買い上げている」というのも、納得。
 面白かったのは、「こんなにすごいぞ!大原美術館」という企画のお話(たぶん)で、サービスメニューとして、親子連れを招待して、柳沢さんが迎えて、「普段、お子さんがいても、こういうことさえ気をつけてくれれば、来てくれていいですよ」とお話をして(これは確か無料)、午後からは、高階館長のギャラリートークで20万円稼いだ、というお話。柳沢さんは、横で聞いていて、「すげえ、全部知ってるんだ!」と思われたそうな。
ドイツの作品の展覧会をしたときには、宮城県美の西村さんにアドバイスを受け、作品を選んだとのことで、そうか、西村さんは、そういう評価を受けているのかと思った。
今の大原美術館の子ども向け普及活動の説明も一生懸命されていたが、これは、以前から、私にはう〜ん、なのだった。夏休みの最後のプログラムが終わったあとには、プログラムを点検し、外部から厳しい意見を言ってくれる人を呼んだ、とのことで、齋さんのお名前があがった。そうか、齋さんが、ご自分のブログで書かれていたのは、このことだったのね、と思った。

写真は、観音崎灯台(2008年2月21日撮影)