天安門・故宮博物院

takibata2008-03-19

 天安門広場へ行くべく、地下鉄2号線の門前駅で降りる。ところが地上に上がってみると、広場側にはロープが張られ、警官がいて、中に入れない。中国人の見学者も、警官に向かってわあわあ言っている。仕方ないので、地下道を通って、広場の向かい側へ出る。広い歩行者道には、中国各地からやってきた団体さんがいっぱい。赤やオレンジや水色やのお揃いの帽子をかぶったおのぼりさんがいっぱい。
 北上すると、中国国家博物館があるが、現在改装工事中。威容を誇る建物の前には、北京オリンピック・カウントダウンの巨大なディスプレイ。
 さらに北上して天安門。ゲートをくぐり、ふとした出来心で、よく分からないまま天安門入場チケットを10元で購入した。中に入ろうとすると、セキュリティーチェックがあって、バックはダメと言われる。バックというより、手提げのずた袋なのだが、手荷物預かり所に行って、2元でずた袋を預ける。カメラはOKだ。再度、セキュリティーチェックの列に並んでいると、中国人夫婦が、ポリ手提げの中のペットボトルやパンの袋を、旦那さんのコートのポケットに押し込んでいてほほえましい。「印刷物」が持ち込み禁止になっているのは、天安門の上から、ビラでも撒かれたら困るからだろうか?
 門の上に上ると、展示室があって、よくできた「清朝乾隆時期天安門広場復元模型」などが展示してある。その横で、「世紀大閲兵」のDVDが放映されていて、ものものしい閲兵シーンが映し出されているが、DVDを観ているお客さんのほうは、携帯で喋るは、着メロ鳴らすはで、緊張感ゼロである。
 次は、故宮博物院へ。こちらは、セキュリティーチェックは形だけで、手荷物もそのまま持ち込める。一通り見て歩いたが、建物やら庭園やら展示物は、一言で言うと「趣味の相違」という感想。建物そのものよりも、布団で赤ん坊をくるんで来ている若いカップルとか、立ち入り禁止の場所に勝手に入って記念撮影するお嬢さんとか、携帯メールしている監視員とかを見ているほうが面白い(昨日の中国美術館では、折り紙折ってる監視員がいたし、撮影禁止のところでお客さんが写真を撮っていても、全く注意しないのだった)。
 印象に残った展示物は、古書画研究中心展庁というところの清初四僧絵画展。弘仁という人の「黄山図冊」。仙人の住むような山を描いた作品と、そのモデルとなった風景の写真が展示されている。本当に、こんな山があるんだ・・・という。
 皇極殿は、名前が興味深い。暢音閣は三層からなる京劇の舞台。向かい側の展示室では、この舞台の横断面模型が展示されていて、空中ブランコなどの装置もあったようだ。
 あとは金ぴかの仏様とか、珊瑚細工(趣味が悪いとしか思えないのだが・・・)、象牙が2本さし渡してある椅子とか。面白かったのは、宝物を並べた大きな戸棚。中国版クンストカンマーか? グランドピアノに色つきシャンデリアなんてのもあった。
 さらに驚いたのは、御花園で、くねくねの樹木(時節柄、枯れ木。葉は生えるのだろうか?)に、穴ぼこだらけの石の山。石の山の上に建物が建っているのもあった。梅、オウバイ、君子蘭が咲いているが、全体として緑が少ない。わずかばかりの竹林を見て、ほっとする。
 故宮のそこここに、外国人向けショップがあり、ついついあれこれ買い物をしてしまう。面白かったのは、英漢対訳の『精選唐詩与唐画』シリーズ。左頁に唐詩、右頁に唐画がセットになって組まれていて、例えば、杜甫の「春望」の隣に、「五牛図巻」が載っている。日本人的にはミスマッチな感じがするのだが、こちらが勝手にイメージを膨らませて来たのだろう。
 故宮を出て、客引きのおじさんたちには聞こえないふりをして、東へどんどん歩いていく。故宮の周りには大きな堀があり、柳の新芽が目に映る。食べ物屋を探すうちに、中国美術館の前まで来てしまった。昨日は気づかなかったが、中国美術館と道路を挟んだ反対側には、画材屋が数軒並んでいる。一番大きな建物には、「美術館 博物館 ○○館用品、美術図書」と書かれていて(○○は読めず)、2階に上がってみると、展示ケースやプレートなどの見本が並んでいた。図書コーナーには、美術学校(中国美術院?)受験用図書の数々。裸体画用のモデル写真集が置いてあるのには笑えた。
 白云編著『影・画 牡丹』『影・画 荷花』などのシリーズで、実際の蓮や牡丹の写真と、その描き方が解説してある本を買った。
 地下鉄東四駅前のお店で、遅い昼食兼晩御飯。えびシューマイ、茄子の唐辛子ニンニク炒め、花茶で、34元。昨日よりはずっと豪華なわりに、安かった。
 写真は、中国国家博物館の威容(2008年3月19日撮影)。