官園市場/魯迅博物館/北京動物園/湖広会館

takibata2008-03-22

 朝一で魯迅博物館へ行くつもりが、地下鉄「阜成門」駅を降りてから、道に迷う。先に、「官園市場」に出てしまう。官園市場は「花鳥市場」とも呼ばれるようで、鳥や金魚や爬虫類を売っている場所。で、想像・期待していたのと違い、ずいぶん小さな市場だった。市場の閉鎖的な建物の周囲を小さな店が囲んでいる。市場の建物の中は、小間に分かれ、那覇のディープな市場と非常によく似ている。ただし、各小間は、ガラスで仕切られている。建物内部は、魚関係の店が多い。外では、サボテンも売っているのに驚いた。鳴く虫や鳥は、ごくわずかだった。亀、金魚、胡桃が多い。
 さて、そのあたりの胡同を迷いに迷って、ようやく魯迅博物館にたどりついた。展示は、魯迅の生涯に沿って、写真と手稿、出版物等で構成されている。来館者は少なく、勉強に来ているふうの中学生ぐらいのグループと、個人客がちらほら程度。仙台留学時代のノートがあり、藤野先生の添削した頁が展示されていた。柱の両面には、大きな版画の版木がたくさん展示されている。これがたぶん、山梨先生が言われていた中国木彫運動の版画なのだろう。アールヌーボー調の版木があるのには驚いた。
 増田渉、松枝茂夫といった、なつかしい名前があり、魯迅の絶筆は内山完造宛の手紙だった。デスマスクまであり、最後に、「民族魂」と書かれた大きな布が展示されていたので、少ししみじみしていると、突然、おばさんに声を掛けられた。「イングリッシュ?」と聞いてくるので、何か映像でも見せてくれるのかと思ったら、ショーケースの前に連れていかれた。あれこれ熱心に勧められて、図録を2冊買ったのだが、魯迅には悪いが、「民族魂=商魂」としか思えなかった。
 さて、外に出て、またしても道に迷う。恐るべき方向音痴。たまたま、「動物園」と書いたバスが走ってきたので、予定を急遽変更して、パンダを見に行くことにした。乗ったバス停は「百塔寺」で103路バス。15分程度で、「動物園」バス停に到着。北京動物園の向かい側は、巨大なバスターミナルになっていた。地下道をくぐって、動物園へ。入館料は、パンダ込みで15元だった。
 入ってすぐにパンダ舎があり、パンダが寝ていた。生まれて初めて見るのに、感動はゼロに近い。動物園全体の意匠が、まだまだ感が強い。それでも、大きな池に柳が垂れる景色は、中国だなあと思う。「両棲爬行館」には、ミシシッピワニ揚子江ワニと、タイのワニがいた。肝心の揚子江ワニは、ガラスケース内が暖房されているためか、ガラスが霞んで水面上の目がそれとなく分かる程度。その他、亀がいっぱい。中国人は亀好きなのだろう。親子連れで大勢が亀を見ている。
 パンダの返礼で大町から贈られたはずのカモシカ(の子孫?)を探して、草食動物のコーナーをしらみつぶしに見て回ったが、とうとう発見できなかった。でも、このコーナーは大変充実していて、人も少なく、中国内陸部の様々な鹿やらロバやらを静かに見ることができた。ここはお勧め。驚いたのは、自宅から白菜、キャベツ、ほうれん草、レタスを持ち込んで、動物にやっている人たち。「動物に餌をやってはいけません」表示がそこかしこに出ているのに、である。
 オオカミのコーナーもかわいい。中国産の珍しい大型の鳥もいっぱい。最後に、金絲猴も見に行ったが、そこでも、皆、お菓子を次々に投げて、キャッチさせている。「中国一級保護動物」って書いてあるんだけど・・・
 「西直門」駅まで歩く。地下鉄の入り口を探すのに、無駄に迷う。でも、そのおかげで、路上の散髪屋さんとか、裏路地でいろいろ見ることができた。地下鉄2号線で「和平門」駅へ。瑠璃廠の本屋さんで買い物。偶然、『中国博物館学基礎』(2001)なる本を見つけた。「博物館功能与類型」なんて項目があり、買って帰ることにした。付録に「博物館法規」や「中国博物館事略(1868−1999)」も載っている。
 そして、湖広会館へ京劇を見に行く。「覇王別姫」の日をわざわざ選んで予約した(180元)のに、演目が変更されていた。会場はとてもムードがあるのだが、日本語ヘッドホンをかなりしつこく勧められたり(40元もする・・・結果的には不要に近い)、席までお土産を売りにきたりで、興ざめだった。京劇自体はそれなりに楽しめたが、期待の方が大きすぎた。地元ファンが見に行く劇場に行くべきだったのかもしれない。帰路は「虎坊橋」から15路バス2駅で、「和平門」駅まで戻った。
 写真は、北京動物園の麋鹿(自然界では絶滅した動物とのこと。2008年3月22日撮影)。