大阪府立児童文学館存続運動

 ひょんなことから、下記のサイトを見つけた。
大阪府立国際児童文学館存続運動に賛同します。 橋下知事 児童文学館にはマンガもあるんです!(宮本大人のミヤモメモ)
  http://d.hatena.ne.jp/hrhtm1970/20080325
  マンガ史研究者の宮本さんの、児童文学館の必要性を訴える主張は、非常に説得力がある。ごく一部だけ引用。

 ある時点の大人の目から見て、「文学的」、「芸術的」に価値の高いものだけを集めるのではなく、現に子供向けに出され、子供が読んでいるものは、すべて所蔵の対象となります。もちろん、実際には、予算と収蔵庫の問題であらゆる子供向け出版物が収集されているわけではありませんが、例えば、マンガやライトノベルの寄贈は受け付けない、といったことは一切ないわけです。
 これは、設立された80年代初頭においては、かなり画期的な方針だったと思います。収蔵品の核になっている12万点のコレクションを寄贈した、児童文学研究者の鳥越信氏の、大衆的なものでも、「俗悪」なものでも、とにかく子供が読んでいたものは何でも集める、そのことによって、実際に子供が何をどのように読んでいたのかを知る歴史的資料とする、という考え方は、マンガ業界・マンガ読者側からすると意外かもしれませんが、多くの児童文学研究者に共有されているものです。しかし、これは一般的な公立図書館では受け入れられにくい考え方でもあったと思われます。
 この基本方針のもと、現在では70万点を越える資料が、収蔵され、児童文学も、絵本も、マンガも、とにかく子供向けの出版物は同時並行的に閲覧できる、という児童文学館の特色が出来上がっています。その結果、『りぼん』でこういうマンガが連載されていた頃、『詩とメルヘン』はどんな誌面だったんだろう、とか、『少年倶楽部』で「のらくろ」が連載されてた頃、児童文学評論の載っている教育雑誌ではどんなマンガ批判が展開されていたんだろう、といった研究が、容易にできるようになっているのです。

(中略)

 したがって、本来なら、知事室にいながらできる下調べをきちんとした上で、理事長と館長がともに出席できるよう日程を調整した後に、更なる見直しが必要だとすればそれはどこなのかを確かめるべく視察を行うのが、本当の意味で「効率的」な見直しのはずなのに、知事がそういう手順を踏んでいないのは明らかです。今回の視察は、「俺はちゃんと現場を自分で見て判断してるよ」というマスコミ向けのパフォーマンスとしての性格が非常に強いと考えられるわけで、そうしたパフォーマンスの中で得られた断片的な印象だけで、一つの公共施設の見直しの期限を切るなどということは、あってはならないことだと思います。

◆ のりみ通信 大阪府立国際児童文学館存続のお願い!
  http://norimi.blog45.fc2.com/blog-entry-261.html
  こちらは、マンガファンの方が書いているようで、児童文学館への愛がひしひしと伝わる。

大阪府立国際児童文学館。吹田に住んでいたころ私は何度通いつめたことか…!
なぜならここには戦前〜現在まで発行された漫画雑誌がきちんと収集保管され閲覧できるからです。
「児童文学」館という名称ゆえに児童文学や絵本を主に扱っている「図書館」だと思われるかもしれませんが、この館の方針は「児童文化をまるごと保存して、研究して、発展させるための施設」なのです。よって、子供向けに発行された本はすべて収集するという意味でマンガ雑誌も研究資料として幅広く収集保管されています。

私が主に閲覧したのは『リボンの騎士』、『エンゼルの丘』、『どろろ』、『ガラスの仮面』などの連載誌です。手塚治虫先生はご存知のとおり、書き換えが非常に多い作家で、単行本収録時に必ずといっていいほど書き直し、カットなどの編集を行います。そのため、連載誌とマンガ単行本では内容が異なり、その違いを見つけ追求することもファンとしての楽しみのひとつです。美内すずえ先生の『ガラスの仮面』などはそれこそ未収録が2千ページにおよぶため、それらをすべてコピーしに何日も続けて通いつめました。

国際児童文学館の書庫には明治期の絵本から最近の少女マンガ雑誌にいたるまでの書籍がきちんと年代順に整理されています。そして2階受付で申請すればすぐに閲覧できます。ここまでの規模の優れた施設は関西では他に例がありません。京都国際マンガミュージアムがマンガ連載誌のデータベース化を目指してはいますが、膨大な量ゆえ未整理の部分が多いのです。だからマンガを愛するものにとって、資料としてのマンガ雑誌を研究する者にのとってこの施設は無くてはならないものです。

 施設の存続運動は、日ごろから利用している方々の声が一番、心に響くものだ。