府立4館のこと

 今日は、一日在宅。4時間ごとに、犬をだましだまし、目薬を入れる生活。
 さて、ずっと歯切れ悪く、思い悩んできたこと・・・府立4館問題。行ったことがないのよ〜が基本なのだが、実は、「近つ」と「狭山」は行ったことがある。

 「近つ」は今の職場に着任した最初の2年間、実習でお世話になった。べらぼうに遠い場所という印象がある。大阪→天王寺→(徒歩)→大阪阿倍野橋→(近鉄南大阪線)→喜志→(バス)→阪南ネオポリス→(徒歩)→敷地の入り口から館の入り口までのアプローチが長く・・・・巨大な安藤忠雄建築にのけぞった。それで、担当学芸員さんに事務室でご挨拶して、「展示見て行って下さい」と言われなかったので、当時まだ初々しかった(!)私は、展示室を見ることもなく、トボトボと帰路に着いたのだった。だから今も、中に何が展示してあるのかは、知らない。同じ敷地内に古墳もあったから、現地保存というのは大変だなあ(=遠い!)と思ったことを覚えている。アクセスはこちら→大阪府立近つ飛鳥博物館http://www.mediajoy.com/chikatsu/access_j.html
 ネックは、喜志駅との間のバスの本数だ。→金剛バスhttp://www.minami-osaka.jp/?KongouBus%2FKishi%2FHannan 帰り道、バス停で途方に暮れた。

 「狭山」は、とある会合で、マイクロバスで連れて行っていただいた。展示そのものは面白く、一見の価値はあると思ったが、リピーターを確保するのは大変だろうなと、その時思った。改めてアクセスを調べてみると、大阪→新今宮→(南海高野線)→大阪狭山市で行けるようで、大阪狭山市駅からは、徒歩10分とある。アクセスはこちら→大阪府立狭山池博物館http://www.sayamaikehaku.osakasayama.osaka.jp/

 さて、「弥生」は、名前はよく知っている。しかし、どこにあるのかは全く知らなかった。南のほうにある、くらいの認識。今日、調べてみると、大阪→(JR関空快速)→鳳→(JR阪和線)→信太山で、ここから徒歩圏のようだ。アクセスはこちら→大阪府弥生文化博物館http://www.kanku-city.or.jp/yayoi/info.html

 「泉北考古資料館」・・・今回の大阪府問題が起こるまで、申し訳ないが、その存在を知らなかった。随分昔、泉北ニュータウンに住んでいたのだが、たぶん、その頃にはまだなかったのだろう。大阪→新今宮→(南海高野線)→堺東→(南海高野線)→中百舌鳥→(泉北高速鉄道)→泉ケ丘→徒歩圏らしい。アクセスはこちら→大阪府立泉北考古資料館http://www.pref.osaka.jp/bunkazaihogo/senboku.html

 さて、どなたのページかは分からないが、こんなページを見つけた。

大阪府の4館は、国史跡などの重要な遺跡のそばに建てられていて、サイトミュージアム(遺跡と博物館が一体となったもの)として機能している点に大きな特徴があります。そして、重要文化財をはじめ府下の貴重な出土品を適切に収蔵、管理して未来に伝えるとともに、社会教育、学校教育、歴史研究に活用していく役割を担っています
http://file.osakahakubutukan.blog.shinobi.jp/436b9e20.pdf

 府立4館は、サイトミュージアム!というのがポイントか。これは、長所でもあり、短所でもあろう。大概、不便な場所にあるから。

 さて、府立館の統合に反対する意見としては、ご覧になった方も多いと思うが、直木孝次郎先生らの以下の発言が説得力がある。

 直木さんら歴史、考古学者は、全国から寄せられた1万189人分の統合反対署名を提出するとともに記者会見。「弥生博は弥生時代を代表する池上(いけがみ)曽根遺跡に隣接する弥生時代専門の博物館。泉北資料館も日本の焼き物の発祥地である陶邑窯跡(すえむらようせき)群を実地で見学できる施設。現場を離れてしまっては意味がない」と反対理由を述べた。
 「89歳老学者、38歳大阪府橋下知事を叱る」(2008年4月9日、産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/080409/lcl0804090019000-n1.htm

 府民の反応については、日経ネット関西版の<先望鏡>の記事が興味深い。太字は引用者。

 他の博物館との統合が試案に盛り込まれた和泉市弥生文化博物館も最近、「見直し報道でこの施設を知って初めて来館した、という人の姿が目立つ。博物館の場所を尋ねる問い合わせも、それまでより増えた」という。 「現場を知ることの大切さ」を訴える知事が、休日返上で丹念に施設の視察をし、さらに関係者から存続を求める反対運動も起こったことで、いやが上にも注目度は上がる。
 「こんな施設があることを知らなかった」「おもしろそうだから行ってみよう」。存廃が俎上(そじょう)に上がった施設であるにもかかわらず、そんな関心を集め、入場者が増えるという皮肉な現象を生んだ。
 府立施設がこれほど府民の関心を集めたのは、大阪府の歴史の中でおそらく例のないことだろう。
<先望鏡>府政に関心呼んだ橋下改革2008/04/14配信
http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/news003805.html

 私自身が、歯切れが悪いのは、これまでに、現地保存型博物館を(理念的に)支持する論文等を公表してきたからで、自分自身の言動の一貫性ということを考えると、深く悩まざるを得ないからだ。考古学を扱う諸館は、サイトミュージアムという形で、現地保存型博物館を実践してきた。しかし、アクセスは不便な場合が多い。どうやって利用者を増やし、維持存続していくのか。この問題は、簡単には答えが出ない。
 「近つ」や「狭山」の場合は、さらに安藤忠雄建築というオマケがつく。また、府や国の財政再建の問題。そう簡単に、最適解が見つかるとは思えないのだ。

 ところで、新聞を整理していたら、「大阪府政だより」No.328(2008年4月15日)というオリコミを見つけた。改革プログラムの説明がずら〜っと並ぶのだが、中のほうのページに、「府民のための芸能・芸術半額鑑賞会7・8月」という案内を見つけた((財)大阪府文化振興財団「半額鑑賞会」http://mic.e-osaka.ne.jp/bunkashinkou/hangaku/hanngaku.html)。7月が「五木ひろし特別公演」、8月が「舟木一夫特別公演」とかある。13,000円の席が半額の6,500円になるそうだ。大阪府って、お金なくて、困っているんと違うの???
 訳の分からない文化行政である。