「大阪の社会・労働関係専門図書館の存続を求める会」

 24日の日記コメント欄にある通り、原田先生からご連絡をいただいた。なぜ、こうした図書館まで潰そうとするのだろうか? ということで、同会のHPから部分転載します。

大阪の社会・労働関係専門図書館の存続を求める会


大阪にある、規模は小さいとはいえ、高度な専門性を備えた労働図書館が廃止の危機にあります。

 大阪府橋下知事財政再建を最重要課題として、先ごろ、財政再建プロジェクト試案を発表しました。その中で、「大阪府労働情報総合プラザ」を7月末で廃止することが明らかにされています。

 大阪府労働情報総合プラザは、既に8年前から民間団体である(財)大阪社会運動協会に委託され、知事の目指す「民間活力の利用」に資する図書館として機能してきました。資料の専門性を高め、貴重な文化資産である原資料を多く保全・収集し続ける高い能力を持った同協会は、私達研究者のみならず、広く大阪府民を始めとする人々に開かれた図書館の運営を実践してきました。

 しかるに、今般の大阪府の措置により、収集された資料の散逸が危ぶまれ、研究・教育の危機が招来するものと懸念されます。また、一般市民にとっても無料で利用できる専門図書館(大学の研究機関以上に専門性の高い資料を所蔵しています)がなくなることは、大阪の文化の発展にとっても大きなダメージとなります。

 そこで、(財)大阪社会運動協会の資料を利用して研究成果を上げてきた私達呼びかけ人が代表となって、「大阪の社会・労働関係専門図書館の存続を求める会」をつくり、大阪府知事宛に以下のような要望書を提出しました。
(中略)


大阪府知事 橋下 徹様

要望書  
 先般、大阪府財政再建プロジェクト試案が発表されました。同試案によりますと、大阪府が設置し財団法人大阪社会運動協会が運営を受託している大阪府労働情報総合プラザについては廃止、同協会への補助金はゼロになるということでありますが、これは社会・労働分野を専門とする研究者である私たちにとって重大な損失と考えます。

 大阪社会運動協会は1978年の設立以来、『大阪社会労働運動史』(既刊8巻、現在9巻編纂中)の編纂とそのための資料収集に取り組み、集めた資料の専門性の高さについてはいうまでもなく、成果物としての同運動史のレベルの高さは言をまちません。大阪だけではなく、全国は言うに及ばず、遠くイギリスはケンブリッジ大学及びロンドン大学の図書館にも所蔵されている図書であります。

  同協会が2000年より大阪府労働情報総合プラザの運営を受託して以来、人件費の大幅削減を実現し、さらに8年間で利用実績を4倍に上げたという成果も聞き及んでおります(国立国会図書館「びぶろす」平成20年4月号参照)。すなわち、同協会の事業は貴職の政策課題である「財政再建、民間活力の導入」の好個の例として誇るべきものでこそあれ、その成果を全否定するような今回の試案にはまったく納得できません。これでは財政再建に向けたあらゆる努力を無に帰するに等しい暴挙と考えます。

 大阪府労働情報総合プラザと大阪社会運動資料センターは一体のものとして運用されてこそ、その資料の専門性の高さとレファレンス能力の高さを発揮することができます。図書館は文化遺産を次代に残す重要な責務を負い、かつ、専門図書館の価値は「建物と本」をモノとして見るような視点では語れない重要な財産、すなわち専門性の高い「人」を有していることにあります。専門図書館の宝である専門性の高い資料群と、それを使いこなせる人材を活かさずして大阪の再生がありえるでしょうか。しかも、先にも述べたとおり、貴職が掲げられている財政再建と民間活用という好個の例である大阪府労働情報総合プラザと大阪社会運動資料センターが、まさにその財政再建という旗印の下に運営の危機に陥るとすれば、なんとも皮肉な結果と言わざるをえません。

 大阪府労働情報総合プラザは中小企業の労務担当者及び社会保険労務士の利用が非常に多いことから鑑みても、中小企業の町大阪の福利に役立つ施設であることもまた明らかです。

 関西において社会労働関係専門図書館としての両図書館の所蔵資料の量と質は群を抜いており、大阪府労働情報総合プラザが廃止されると、研究・教育活動に大きな支障をきたします。大阪府の危機的財政状況については存じておりますが、私たち社会・労働関係の研究者にとって資料の宝庫である大阪社会運動資料センター及び大阪府労働情報総合プラザの存続を願い、しかるべき予算措置をとられることを貴職に切に要望するものであります。
http://rodoshomei.web.fc2.com/

署名サイト、呼びかけ人等の情報は、こちら→http://rodoshomei.web.fc2.com/
ひっそりと潰されることがないよう、注目したい。