「大阪の文化の未来を考えるシンポジウム」(3)

 続きをアップする。注意事項は、4月30日の日記をご覧いただきたいが、何分、メモの主である私はこの分野に疎いため、多くの漏れ、誤記があると思う。そのつもりでお読みいただきたい。

田上(ドーンセンター事業コーディネーター)
 ドーンセンターには上にホールがあって、500人席(がある。)ドーンセンターを建てた職員がノウハウを持って、ワッハへ行った。ドーンは男女共同参画社会づくりのための拠点施設で、女性問題は男性問題でもあり、総合的に解決していこうと、14年前にオープンした。心をこめてたくさん(の人が)ドーンセンターにかかわって、誕生する前に16年間語り合った先輩たちがいた。
 (女性問題の)解決の拠点は、(全国に)300箇所くらいあるが、文化を事業にしているところはそんなにない。300以上ある中で、文化事業をここまでやっているのは、ここだけ。
 14年前にオープンしたが、(16年前の基本構想では)、ハード面では、ホール(があり)、会議室ではビデオが見られる。視聴覚スタジオを(設け)、全館CATVでホールで流れたものを(全館で見れるようにしよう、という計画もあったぐらい)、女性文化に関する関心度は、大阪府の行政は高かった。
 私自身はカナダにいて、TV局(で働いていたが)、カナダは文化度が高く、カナダでの文化庁にあたる(部署は)、表現するものに対して助成金が出る。それを支えるTV局の仕事(をしていた)。女性についてのドキュメント(を作っていた)。
 1988年、大阪府は建物を建てた。基本構想には、女性たちの文化表現者を育成しよう、女性が元気になれば男性も元気になる、性別・年代を超えて交流できる(と書かれている)。 
 大阪府がアプローチしてきたとき、文化事業を入れていることに、心惹かれ、かかわってきた。ドーンセンターは拠点施設で、セーフティネットとして相談(事業を行っているが)、全員が相談に行くのか? DVの相談にしても、日本のDV法改正の際に基本にしたのはアメリカで、アメリカのお手本はカナダだが、カナダでは一本のドキュメンタリーのビデオがDV法を作った。DVも、相談事業は全てを解決しない。DVはどんなものであるか、ビデオ講座(を行うこともある)。男性の仕事の仕方、子どもの引きこもり、といった作品を作り、流していた。
 ドーンセンターのオープン当初、2点についてこだわった。1つは、内容は女性たちが元気になる、新たな自分の役割を発見できる(こと)、2つ目は、いいものを見せたい、一流のものを見せたい。一流のものは、誰が見ても心惹かれるだろう。アマチュアよりプロのものを見せたい。(それには)どこかで拠点があり、継続してやり続けないといけない。
 文化表現事業に、ドーンセンターは大きく貢献した。私自身が表現者だ。表現できることのパワー、力。自分が何であるかの道筋(を確認することでもある)。総合的な支援を。それぞれいろんなアプローチの仕方があり、みんなが持っているのは文化ではないか。
 文化、教育は時間がかかる。一度途切れたら、戻しにくい。今、最大の危機で、(他の自治体の施設では)なぜ、女性文化ができなかったか。(文化は)専門性が高いからだ。ドーンセンターは、(他の自治体から)相談を受けたが、根付かなかった。(ドーンセンターを)大事にしたい。
 カナダに10年いて、国際的に見ても、日本の女性の地位は低い。韓国は(女性の地位が低かったが)、文化政策を持っている。大統領になった李さんは、もとソウル市市長だが、女性(問題)に関しても力を注ぐ人で、公的施設、(女性の)センターを作った。ドーンセンターも交流(してきたが)、文化表現の(分野で)ソウル女性センターは、(もと市長の貢献で)、ソウル女性映像フェスティバルも(行っている)。映像フェスティバルというのは今まで西洋のもので、アジアでは中々根付かなかった。ソウル女性映像フェスティバルは国際的に評価を受けている。


小堀 ここで、呼びかけ人を(ご紹介したい)。岩崎正裕さん、福本年雄さん、そして大谷燠さんは、フェスティバルゲートで公設民営の小劇場を運営されていて、4,000万円借金をして、フェスティバルゲートが破綻したから出て行ってくれと言われて、東大阪にDANCE BOXを(移転された)。


大谷 全国津々浦々、フェスティバルゲートの話で呼ばれて、3年前までは、大阪市とアートNPOの成功事例として呼ばれていた。(最近では、)なぜダメになったのか(を聞かせてくれ、と呼ばれる)。
 経緯は、2001年3月に、大阪市現代芸術アクションプランが策定されて、(2002年に)5年で見直しがある(ものの)10年続くということで、3つの(団体)、(コンテンポラリーダンスのDANCE BOX(http://www.db-dancebox.org/top.htm)と、情報メディアアートのremo(http://www.remo.or.jp/j/index.html)、現代音楽のビヨンドイノセンスが、大阪市の事業(ということで)NPO法人化した。新世界で、5年目の見直しはあるとはいえ、10年やっていけるつもりで4,000万円借金をして、焼き鳥屋の跡を、劇場、カフェ、書籍、事務所、楽屋、倉庫に(改装した)。
 外部委員による評価は、2年間は公表されて、いい評価だった。コンテンポラリーダンスは先駆性を持ち、量的に支持する人は少ない、(一度に)300人くらいだけど、量の問題を言われると弱いけれども、新しい価値観を起こす芸術を大阪市は支援していかないと(というものだった)。エンターテイメントとアートは向かうものが違うという言い方を(していた)。ニューヨークでは、なぜ(芸術を)行政が支援するかというと、エンターテイメントは支援しない、ブロードウェイで踊ると(生活していける)が、(踊りを作っている)コレオグラファーや作詞作曲家は、食べていけないから支援していかないといけない、(と考えて支援している)。
 先鋭的な(表現)や、古典作品、オペラなどは新作を作るのに1,000万円くらいかかり、一回の公演で回収できない。大阪市現代芸術アクションプランでは、評価の定まっていないアートを支援する(と書かれ)、2年目まではいい評価を受けていたが、3年目は公表されず、5年目には出て行く(ことになった)。知らないうちに、「文化集客アクションプラン」に変わっていた。あとで、すりかわっていた。 行政とアートNPOは、どのように共同していけばいいのか。フェスティバルゲートは、指定管理者制度が導入される前だが、公設民営(の施設で)アートNPOが運営管理(を担い)、事業費は、年内で1〜2本だけ委託費が出て、管理運営の人件費はゼロ、自分たちで(施設の)修理を行う。公共ホールと違って、企画に自由度が大きい。自分たちで考えたことができ、ファンドレイジングする。特徴的な活動を起し、たくさんの人が見学に来、注目されていた。アクションプランは、なぜ勝手に消えてしまうのか。中・長期的な文化政策大阪市は持てなかった。
 担当者が異動して、私たちと共同性が持てない。大阪市の人と話していても虚しい。協働ではなく、処置しよう、になる。(自治体は)中・長期的な文化施策、大きなストーリーを持たないとダメだ。
 大阪創造都市(、創造都市というのは)ユーロッパ中心に(言われた概念で)、近代産業が破綻した都市を芸術によって再生させようという(考え方だが)、創造都市戦略は大きなストーリー性を持つ。
 今起こっている問題は、いかに芸術文化は大切なものか、費用対効果では(測れない)、文化の論理と経済の論理は違う、芸術文化の持つ力は、(先ほどの田上さんのお話の)ドキュメンタリー映画(のように)、社会の中で孤立している人たちに手を差し伸べることができる。教育や福祉に(通じ)、犯罪を防ぐ役割もする。クリエイティブな力、コミュニケーション力があり、即効性があるものではないが、長期的な展望を持って、守り育てていかねばならない。
 アートそのものを、私たちはどうして社会化(するか)。アウトリーチ活動、教育や福祉の現場へも出掛けて(いる)。DANCE BOXは、障がいを持つ人と表現を通じて語りあう(活動もしている)。
 多様な価値観が存在する社会の中で、共生する力をアートは持っている。「新しい公共」という考え方を持っておく必要がある。これまでの「公共」は量に換算されてしまう。「量=公共」と考えられてしまう。多様な価値観と、「新しい公共」が共生できる社会を作っていく。
 繁盛亭は、半月で数万人が(集まったが)、甲子園球場は1日で4〜5万人集める。それでも繁盛亭(の周辺の)商店街が変わった。文化の波及力だ。「新しい公共」を担っていく、専門的な知識を持って、蓄積は財産だ。なくなっていくことに対して、僕らは声を上げていかないといけない。


小堀 10分間休憩にします。
   (以下、続く)

 メモ起しは、午後に再開の予定です。