兵庫県立考古博物館

 4月30日、兵庫県立考古博物館へ行った。今年の見学実習(バスツアー)はどこへ行こうかという話で、私は内々、府立4館ツアーとか考えていたのだが、非常勤のT先生のご提案で、あっさり兵庫に決まった(ここは私も行ってみたかったので)。T先生は、なぜか体験型がお好き。
 下見なので、路線検索してみたところ、快速1本、1時間20分ほどで、土山駅まで行けることが判明(バス要らなかったかも・・・)。兵庫まで爆睡して、そのあと、須磨の海を眺める。土山駅からは、何となく田んぼの中を歩くイメージでいたが、実際には、「であいのみち」という道が整備されていて、微妙に住宅街から隔離された道を歩いていく。「であいのみち」には(財)播磨町臨海管理センターが指定管理者という旨の看板が立ててある。さらに先へ進むと、チカン注意系の看板がいくつか・・・「であいのみち」がしゃれにならないが、ありえるパターンだと思う。
 昔、加古川看護学校で授業を持っていたので、加古川駅から20分歩く、民家あり、田畑あり、こんなところにと思うしゃれたレストランありの道を懐かしく思い出す。館までの道に迷わないのはいいのだけれども、街歩きの楽しみは半減するような、難しいところだ。
 川を渡って、すぐに博物館の建物が見えてきた。傾斜のある屋根に芝や草が生えている! その先に大中遺跡公園が広がっている。T先生とは、お昼ご飯を食べる場所あるんでしょうか・・・と話していて、館のHPではカフェだけのようだったので、パンを買ってきたのだが、現地へ行ってみると、しゃれたオープンカフェになっていた(風月堂が入っている)。http://www.hyogo-koukohaku.jp/exhibition-activity.html(館内マップ探すの大変!利用者的には、館周辺も含め、お昼ご飯のお店情報は知りたい大事なポイント)
 先に、播磨町郷土資料館(無料)に立ち寄る。資料館と大中遺跡には、小学生の団体が2校ほど来ていて、木陰でランチタイム。大木の枝に登って弁当をひらいている子もいた。
 考古博物館に入る。遺跡公園側に展望塔があり、体験学習室が3つ続いている。その先に図書を備えた考古学情報プラザ。階下には、ネットワーク広場が見える。で、この細長い館の造りは、外観も含め、どこに似ているかな〜と思うと、パウル・クレー・センターではないだろうか。http://d.hatena.ne.jp/takibata/20070914
 兵庫県立考古博物館の建築設計は、(株)昭和設計http://www.showa-sekkei.co.jp/jp/projects.html で、デザインはまるで違うのだけれども、草に埋まっている感じが、クレー・センターを連想させる。
 常設展。リニューアルした富山市科学博物館http://d.hatena.ne.jp/takibata/20080128/p6 に似ている。似たもの探しをしても仕方ないのだが、展示設計施工が同じ会社なので、館種は違っても、どこか似ているのだろう。
 入って、わあ、うちの犬にそっくり!な柴犬系のレプリカ。縄文時代から犬のお墓があったそうだ。生々しくない人骨もいっぱい。面白かったのは、各時代の身長比べ。江戸時代が一番身長が低い・・・のは何故なのだろうか?
 奥へ進むと、「弥生時代古墳時代 争う人々」コーナーがあり、壁面から弓矢や剣が飛び出し、細い通路を挟んだ盾の展示に向かっている。頭上には水平に飛ぶ矢が張り巡らされていて、たたかいムード満載である。こういう展示は初めて見た。
 壁には、「戦いの道具 矢」というパネルがあって、「破壊力アップ!」「貫通力アップ!」という矢印付のグラフが描いてある。
 その奥に映像があって、思わず目をとめる。「あぶない、タツマ」「お父ちゃん!」・・・お父ちゃんはタツマをかばって敵に殺されてしまう。遺体を前に泣くタツマ。タツマ少年はやがて成長して村のリーダーとなる。高地のとりで。「東から軍勢が来よった!」「あいつらめ、ここは誰にも渡さへんで〜」「おんどりゃ〜」
 降伏を決めたタツマたち。乗り込んできた敵に、もの陰からこっそり矢を射るタツマの弟タケル。気配を察したタツマは、敵をかばって飛び出し、矢に倒れる。「タケル、たたかったらあかん。たたかいを終わりにするんや」
 ここで映像は終わる。びっくり。弥生から古墳時代の人は、こういうものの考え方、感情の持ち主だった(と実証できる)のだろうか? 最近見た「のび太の創世日記」をつい思い出してしまう。以前、大阪南部の古墳のそばの学習施設で、「お父さん、僕たちの古墳が出来たよ!」と主人公の男の子が自慢げに叫ぶ古墳造成技術賞賛ビデオを見て、たまげたが・・・・私など「博物館行き」になる時代が近づいて来たということなのだろう。
 雲部車塚古墳の「絵図をもとに復元した竪穴式石槨」があって、これもインパクトがあった。「おはらい」のコーナー。修羅の復元は興味深い。「中世の港と町」のコーナーでは、大輪田泊で宋から輸入した軸装を、役人の検査を受けるために、その場でバーンと開いている人形が立つ。こういうのはアリ?
 出口コーナーの垂れ幕は、さりげなく「生きる力」で締めくくられていて(以下、略)。
 こんな見学レポートを学生が提出してきたら、私は何点つけたらいいだろうか・・・とか考える楽しい博物館なのだった。