新しい公益法人制度について(5)

 高山先生のお話の続きを。【】内は『公益認定等に関する運用について(公益認定等ガイドライン)』の該当箇所を示すために瀧端が補った部分。

 次に、「収支相償」のための公益目的事業をクリアしたあと、「事業比率」という形を取ると、先ほどの内訳表の中で、公益、収益、法人会計、それぞれ経費が出てくる。この経費だけを見て、全体の総額3つを足して、分子には公益目的事業だけだ。これが50%を越えてないといけない。これが「公益目的事業比率」だ。収益事業で黒字、公益で赤字、この比率からすると、50%は大丈夫だと思うが、管理費がさらに入るわけだから、全体を分母にした部分の公益目的事業が50%でなければいけないというのが「収支相償」の次に大変な比率だと我々は理解している。


 そこでこれについても、まず一つが事業費、法人会計である管理費を極めて小さく、会計基準で認められる最小限まで小さくした。先ほど申し上げた専務理事の給料は常識的に考えれば管理費だが、事業をするのではなくて、理事長もそうだと思うが、この人は法人のために働いているのだから、法人のところに足さなければいけない人件費、右側に載せなければいけない人件費だ。それをどれだけ働いているかをカウントすることによって、公益目的事業のほうに、振ることができるようにした。そうすると最低限見なければいけないのは、総会費や、理事会費とか。管理部門の方がもし公益目的事業をやれば、それを振ってもいい。そうやって管理費は小さく小さくした。【(1)事業費と管理費】


 だから内訳表を見ると、法人会計のところには事業費は載らないし、収益事業、あるいは公益事業の部分のところに管理費は入らない。管理費は空欄になっているので、入らないようにして下さい。これから出す申請用紙の方も、そこはカーソルがいかないように、そこには入らないようになっている。それらは事業管理費、事業費でも直接的なものだけでなく、間接的なものも全部振ってくださいと。そうすると分子が大きくなるから、50%をクリアできるはずだと我々は考えている。内訳表で見て、事業費を拡大しましょう。


 それでも助からない場合はどうするかで、全部で今、4つ考えている。ガイドラインの9〜10頁、一つが、自分の土地を持っている場合。人から土地を借りたら、賃料を払う。だったら自分で土地を持っている場合は、貸方に現金は出てこない。出て来ないが、その部分を計算して、上積みしてあげますよということ。「みなし地代」です。


 では、ビルを借りた家賃はというと、これは払う。ではビルを借りない場合はどうなのかというと、減価償却費というのがある。減価償却費は家賃相当と見るので、ビル代はダメ。あくまで土地代の場合だけ、上積みがいいというのが、9頁の(2)。【(2)土地の使用に係る費用額】


 今回議論が分かれたのが、10頁目の(3)。奨学財団が生き残れなかった。奨学財団は、現金を貸したら貸付金という科目になって、入ってくるのは利息の収入だけ。そうすると収支相償も苦しくて、事業費も出てこなくてどうしようというところで、先ほどの事業費とみなすものとしては、優遇した利息であれば、本来なら獲得できた「機会費用」と考えて、長期プライムレートと実際の貸し出しのレートとの差額の部分を費用と見ましょう。これで初めて奨学財団が2階に行ける。これが(3)だ。【(3)融資に係る費用】


 (4)はボランティア、人が足りないので、手弁当で来た方、ボランティア、これも入れようということで、ボランティアは入れられる。その場合は、最低賃金という話が出ているが、通常支払うべき金額になってくると思う。【(4)無償の役務の提供等に係る費用額】


 さらに(5)として出てきた、先ほど述べた、将来、イベントを起こすと考えてお金(費用)をためた場合も、これも分子に入れていいということで、ここまですればまず50%はクリアできるはずだと考えている。【(5)特定費用準備金】


 そういう法人さん(は2階に)来てください、というところで、事業比率というものを考えている。(以下、続く)