ソグネフィヨルド(8月30日)

 明日・あさっては入試。なので、今週はもう、切羽詰った授業準備はしなくて済む。久々の解放感で、北欧紀行を再開することにした。なんとなく、行きっぱなしで、まだ日本に帰って来ていないような気がするので。(11月12日記)

 8月30日は、ベルゲン発8:40の列車に乗った。今度は、川が見えるように、進行方向に向かって左の窓側に座る。向かいの4人掛けの席には、スーツケースを持った中学生くらいの女の子と、両親。発車待ちの間、女の子はスーツケースを開けて、大きなビーズセットを出して、腕飾りのようなものを作り出した。やがて、両親がホームに出たと思ったら、手を振って、列車は出発した。夏休みが終わって、寄宿舎へ帰るのだろうか・・・。
 ガラ空きの車内で、女の子は大きな声で、携帯電話で話したり、音楽を鳴らしたり。咎める気にもなれず、窓の外の景色を眺める。フィヨルドの川は、本当に鏡のように静止して、緑深く、まるで、瀞峡のハイライトがずっと続くようだ。山も家も船も、そのまま逆さまに水面に姿を映している。ソグネフィヨルドの観光船から見る景色よりも、このベルゲン急行沿いの川面のほうが美しいのではないだろうか。(写真は、帰路撮ったもののほうが美しいので、その際に)
 9:54、ボス着。鉄道駅を降りると、バスが待っていて、10:00発のグドヴァンゲン行きのバスに乗ることができた。切符は運転手さんから買ったように記憶している(オスロ駅で、現地で買えと言われたので)。しっかり窓際の席を確保。


 バスは、大変な急勾配の坂を登っていく。よくこんな道を走れるものだ。断崖絶壁から落ちないものと信じる他はない。滝など、要所、要所で一時停止してくれる。氷河はほとんど融けてしまっているが、氷河地形は迫力がある(しかし、スイスアルプスに比べるとなあ・・・)。



 予定よりだいぶ早く、グドヴァンゲンに到着。草屋根のショップなどで少し時間を潰して、11:30発のソグネフィヨルドめぐりの観光船に乗る。

 切符はやはり乗船時に買った。個人なら予約なしで問題ない。



 この日はあいにくの曇り空で、かなり寒い。初めはかなり寒い、くらいで済んだが、船が進むにつれ、風も出て、寒くて甲板に出ていられなくなる。いきおい、船内に入って、みな、暖かいコーヒーやホットドッグなどを買うことになる。食べ物、飲み物を持って、また甲板へ。やせ我慢大会のようなものだ。



 お客さんは、日本人は、私以外は、たぶん一人旅の女性一人だけ。西欧系が半分くらいで、あとは、韓国の若者のグループと、中国(香港?)の団体さんが、うるさいほど賑やか。中国人パワー恐るべし。
 氷河地形は目を引くが、広いフィヨルドは、単調と言えば単調で、途中で飽きてしまった。


 断崖絶壁の上にある一軒家、教会のある、小さな集落など。



 やがて、カモメの群れに、中国人グループがパンを投げて、さらに騒々しいというか、微笑ましいと言うべきか。

 この日は、ノルウェーとスイスの観光客の違いについて考えた。つまり、ノルウェーは、韓国、中国(あるいは香港?)からの観光客取り込みに成功している。一方、スイスは、アラブやインドからのお客さんが多い。この違いは何なのか? 費用を考えれば、スイスのほうがノルウェーより安上がりだと思うのだけど。ノルウェー側が、中国・韓国に売り込んでいるのだろうな、と想像した。また、中国が中年の団体さんなのに対して、韓国からは若者のグループが多いように感じる。日本は影が薄い。


 そうこうしているうちに、2時間の長い旅を終え、船はフロムに到着。フロム駅には、列車スタイルのしゃれたレストランがあった。