全国博物館大会(5)

 高山先生のご講演ダイジェストの続きを。チェックポイントの部分は、前回6月のお話と重なるので、簡潔にまとめた。

 特例民法法人事業の中から2階へ行く場合、公益目的事業をどう抽出するかが問題になる。自分たちのしている事業をきちんと把握していく。


 公益とは、「公益的な事業」を「不特定多数の者に対して行う」という考え方をしている。公益の事業については、認定法第2条の別表のところに22−23あるが−22、書いてある。博物館は、「教育」「文化」に資するものとして、公益的な事業ではある。


 不特定多数かどうかの区分が、17個のチェックポイントにあたる。具体的事例としては「(10)博物館等の展示」、「(3)講座、セミナー、育成」、こういう事業をやっているはずだと考えている。今やっている事業は、落とし込みとしては、(10)か(3)に入ってくる。
(中略)
 次の段階として、収支は相償しているかの判定をする。収支相償でなければ2階には行けない。収支相償は「収入が適切な費用を上回ってはいけない」、「適切な」には2通りの意味があって、1つは過大人件費の防止、収入があって費用の方を多くすればいいからといって、人件費、例えば講師の講演料を、通常は5万のところを50万とか100万にすることによってマイナスにすることがあれば、それは「過大」となるので、通常のその法人が決めている範囲内なら、いいと決めている。もう1つの「適切な」という意味は、そこまで厳しくすると、赤字でなければいけないというと、縮小再生産、縮小均衡で段々小さくなっていって、本当に事業ができない、それでは困るということで、ここでは作りこみをしようと考えて作っている。 


 別表G、別紙1を見ると、公益目的事業かどうか、収益事業等かどうか、法人に区分して発表して下さいと考えている。上の「科目」のところの、「公1」、「公2」、「公3」・・・「公6」と書いてあるところがあって、この「公1」から「公6」が、チェックリストの17の事業を指している。だから博物館の場合は、チェックポイントの(10)「博物館等の展示」というのが、「公1」の縦の欄で示していくし、例えばシンポジウムやセミナーをしているなら、「公2」として、先ほどみたチェックポイントの(3)「講座、セミナー、育成」を落とし込んでいくことになる。売店・喫茶店はどうなるのかというと、右の「収1」のところに売店等の売り上げなどが入ってくる。


 収支相償というのは、公益目的事業の縦のところを見ていくことを意味している。縦のところで、例えば先ほどの展示事業として「公1」のところに書いていく。たぶん事業収益として入場料等が入っていくと思うが、入場料の金額を、「公1」に書いて、入場料として書いた金額が、その下の事業費としての給料、臨時賃金、退職給付費用、福利厚生費、旅費交通費、通信費、こういうものの積み重ねの金額で、雑費まであり、管理費は入れることができないが、その下の「経常費用計」でその金額が出て、「評価損益等調整前当期経常増減額」、ここの数字が赤字であることを「収支相償」になったと言う。ここが、プラスになると、収支相償にならなかったということになる。 


 先ほど言った展示事業が、入場料等の収入と、その比較としての、借りた経費との差額、これがもし赤字であれば、それはいい、それはみんなのためになった、安い入場料でよくやってくれた、ということで、ここがマイナスになってクリアされる。またセミナーは大変な費用をかけて収入を上回ってくれて、赤字になるということで、これでいけば、この法人はよかったですと。


 では、赤字だけで大丈夫なのか? いや、先ほどの右側に書いてあった「収1」の売店や喫茶店などではプラスになっているので、そのプラスを使っているから、なんとか均衡しているのだと思うが、赤字というところをぜひ覚えておいていただきたい。基本的には、収支相償は赤字でなければいけない。(以下、続く)

 ここの部分は、ほぼ理解できました。ただ、収支相償のところで、収益から事業費は引くことができるのに、管理費はなぜ引くことができないのかが、気になりました。