全国博物館大会(7)

 高山先生のご講演の続きを。

 ここまでは決まっていたのだが、実は、ガイドラインの修正が入った。今の話がなぜ、重要か? 2階は聞こえもいい。名声もある。税金もかなり優遇される。ただし、取り消しがある。取り消しとは、飴とムチではないが、「あなたたち、公益事業でやると言ったけど、嘘ついたね」、となって財産没収です。財産を没収して、限りなく解散に近いような、解散はしなくて1階に降りなさいということになるが、財産はすべて置いていかなければならない。国、地方自治体、学校法人、社会福祉法人、あるいは1階に行った法人に寄附して、1階に降りて下さい、となる。


 どういう具合に取り消しになるか? (公益法人認定法)第5条、全部で18号まであるが、18個の条件を一生涯キープして下さい。1年がクリアできない場合は、1回目は改善勧告。2回目は、聞いたら、う〜んという話、3回目はダメでしょう。


 収支相償、(ガイドラインの4頁、認定法)第5条第6号(関係)<公益目的事業の収入>、常に赤字をこれからずっと守り続けて下さい。これを作られた方は、公益目的事業は大赤字だ、収益事業は黒字、でも寄附でもって獲得して下さい、という頭があって作っているので、公益目的事業は赤字でなければならないというのがここで決まっている。


 当初は別表を見たように、「経常収益」から「経常費用」を引いて、お金があるところは、積み立てることによってクリアして下さい、だったが、最近、取り扱いが変わった。まだ確約はできないが、この第一段階で仮にプラスになることがあってもそれは仕方ないだろう。お金をわざわざ積ますことまではしないで、弾力的に考えてあげるようにしよう、となっている。なので、別表A(1)がちょっと変わってくる。第一段階で赤字にならない場合、言い訳の欄を作り、なぜ赤字にならなかったのか、なぜ黒字か、来年どういうものに使うか、文章で示して下さい、となるようだ。言い訳の欄を作り、必ずしも赤字にならなくても仕方ない、翌年度、どういうのに使うか、言い訳を書いて下さい、という取り扱いにしつつある。


 そうすると、翌年度使うのと、先ほどの(別表A(1)の)5番の使い方とどう違うのか、というと、「特定費用準備資金」というのは、3年後、5年後に大きなイベントをやることにお金をためていくという考え方なので、翌年度やることにお金を貯めていくのに、どこにどうためていこうかという問題もあって、その整理の中で弾力的に取り扱う方向になってきている。


 G表、今の第一段階で見たように、「公1」、「公2」、「公3」という縦、これが赤字になる、は分かったが、「共通」という欄があって、この欄はクセモノ。展示事業は確かに赤字でした。セミナー事業、確かに赤字でした。でも財団法人なので金融資産を持っていることが多い。金融資産から出てくる収入=「運用益」は、通常は、金融資産はなぜ持つ?というと、公益事業をやりたいからその補填に使いたいんでしょう、ということになる。その収入は公益事業の収入。それをどこに入れるかというと、金融資産は、展示のために持っているのか、セミナーのために持っているのか、ではなくて、「共通」のために持っている。運用益は、原則として公益目的事業会計の「共通」の欄に入れる。そうすると、展示でマイナスをした、セミナーでマイナスをした、でも、運用益はプラスになってしまうので、計算式を2個に分けなくてはいけないではないか、ということで出たのが、先に見た、申請書の下の第二段階(公益目的事業会計全体の収支相償判定)だ。上の段階(公益目的事業の収支相償)で個別的に事業のマイナスを見て、この下の第二段階で全体を見る。即ち、「共通」も含めた小計の欄、「共通」も、「公1」「公2」・・も全部含めた「小計」の欄もマイナスにしないといけない。これが辛いところ。「小計」が入った上で、マイナス、マイナス、でもここで大黒字になったらどうする? また同じような考え方で来年使う費用を積んで下さい。別表C(5)(特定費用準備資金)を書いてもらって、そういうもので使っていきます、というものを出してもらうことになる。


 収益事業はプラスでしたね、実は、今回の会計基準は特殊なことを考えている。その特殊なところが、G表、下から12行目、「他会計振替額」といういやらしい勘定科目がある。これは、縦の欄でずっときた「収益」の欄、要は売店や喫茶店で黒字が出たら、最低半分は、「公益」のほうへ振らなければならない。50%は振らないといけない。この50%を振るときの金額を「他会計振替額」の欄で示すことになる。収益の50%を公益の「共通」の欄に入れる。収入です。これが「みなし寄付金」の原型。収益事業から公益事業へ、すなわちショップの事業から展示の事業へ、半分「収入」であげます。そうすると、先ほどの収支相償の考えかた、一つ、一つ赤字、分かりました。金融資産の収入が「共通」でプラスになりました。これは仕方ない。さらに収益事業で獲得した利益の50%が収入に上がってしまう、これも含めて収支相償を作っていくという形になってくると、お金を積むのは辛いこと。しかし、2階に行くと決定すれば、何としても、全体として公益事業が赤字でなければいけない。3年後とか5年後に行うイベントを作って、お金貯めて下さい。いや、お金ないです。いや、借金してでも貯めて下さい。借金ですか?貸してくれますか? 取り消しになったら、破綻するような法人に貸してくれるでしょうか? 大丈夫かな、と。でも借金してでも費用を作って下さい、という考え方だ。

 ここも、ほぼ理解できました(「計算式を2個に分けないといけないではないか」の部分で、数学オンチの私としては?ランプが灯りました)が、実際に手を動かして表を埋めてみないと、どうなるんだ、というのは実感しづらいです。