全国博物館大会(8)

 高山先生のご講演(ダイジェスト)の続きを。【】及び()内は、当日配布資料と照合して、あとから私が補足した部分を含む。

 この収支相償をやって、これだけ厳しい中で、博物館・美術館で展示品を買えるか? 申請書類【別表A(1)収支相償の計算(収益事業等の利益額の50%を繰り入れる場合)】の5番の欄(その事業に係る特定費用準備金の当期積立額)の、将来(例えば)5年後のイベントというのは、費用で消えていくもの、人件費とか。モノで残るものはダメで、美術品を買うためのものになっていなくて、博物館・美術館から非難轟々となった。そこで考え付いたのが、【別表A(2)収支相償の計算(収益事業等の利益額を50%を超えて繰り入れる場合)】の欄、美術館で美術品を買いたければ、こちらの表を使うことになる。別表A(2)の12番、「公益資産取得資金(に関する調整(別表C(4)より)」。将来、モノになるようなもの、例えば美術館の建設や、美術品を買いたいという場合、【別表C(4)(資産取得資金)】を使う。別表C(4)は、将来こういうものを買いたい、資産を買いたいというところを書く。事業番号としては、展示品とかセミナーとか書く。将来こういう固定資産を買いたい、というところを示せばいい、という考え方をしている。


 ただ、そうは言っても、A(2)を使うためには、利益を50%を超え(て繰り入れ)る場合で、かつ本当に必要だということで、お金がザクザク余っているような公益法人では、なかなか積めない。本当に買いたくて積むならば、本当にお金がないでしょうということでよく言われる。A(1)とA(2)はどう違うのか。利益の50%を積むのか、利益の50%以上を積むのか、A(2)は会計の世界で言う現金主義、お金が本当に足りないか示して下さい、そして別表A(1)は発生主義で計算した場合の欄。先ほどの横長の金額でそのまま書けるのは、A(1)の場合だけで、A(2)を作るためには、違った工夫がいる。これは難しい話になるので、今日、これ以上話すと皆さん、頭が混乱するかもしれない。


 A(2)を作るからには、本当にお金のない場合だけで制約される。それは考えてみれば当たり前の話だが、50%は法律で必ず積まなければならないので、あまり厳しいことは言わない。一番大きな違いは、A(1)は一番下の欄(収支相償の額(収入−費用欄)がプラスになる場合の今後の剰余金の扱い等)。収支相償と言っても、最後にかなり緩やかにしたのが、一番下の欄だ。要は、一生懸命やったけどプラスになった場合、それで取り消されたらたまらないので、プラスになった場合、これをどう使っていくか、例えば入場料を下げたいとか書いていただくことによって、しょうがないね、プラスになっても大目に見ましょうということで、ここを書くことによって、収支相償が完了すると考えている。


 色々なところから収入が入ってきた。縦でもって見てくれると言っても、「共通」も入ってきた、収益事業は50も入ってきた。その中で収支相償というのは厳しい話だったので、ここでもってガス抜きをしていると考えて下さい。ただ、法律が50%を積みなさいと決まっているが、それ以上積むならば、お金が足りないからでしょう、ということでA(2)、なぜお金が足りないのですか? 実は、この利益を使って美術品を買いたいんですよということがあるでしょう。そういうことなら、本当にお金が足りないのをA(2)で見ていこうという見方だ。


 会計の中で、この収支相償の考え方が複雑なために専門家も悩んでいる。また、FAQでも、刻々と取り扱いが変わっている。実際これを作って行く中で、大変さはこれから皆さん、感じてくるのかと思う。

 ここの第二段落からあとは、分からなくなりました。現金主義と発生主義の違いについて私が理解できていないのと、A(2)欄と「お金が足りない」の関係(意味?)がよく理解できませんでした。