全国博物館大会(9)

 高山先生のご講演(ダイジェスト)の続きを。

 私が話さなければならないのは、ガイドラインの目次の5番目の(認定法第5条第)6号、いわゆる収支相償、8号の公益目的事業比率、9号の遊休財産、これが、我々公認会計士が関与して作り上げたところだ。


 ついでに認定法2号<経理的基礎及び技術能力>について、これも説明しなければならない。これを今後もずっと維持し続けなくてはならない。これに違反すると取り消しになる。認定法5条2号の「公益目的事業を行うのに必要な経理的基礎」としては、財政基盤の明確化、経理処理・財産管理の適正性、情報開示の適正性という3本柱でついている。


 まず、(1)財政基盤の明確化、これは債務超過はダメということで、バランスシートがきちっと、剰余金、財産増減がちゃんと財産があるということだし、収支予算も全体的に見るとプラスになっているような、公益事業はマイナスだけど、収益事業とか共益事業とかいろんなものでプラスになって全体的にプラスでないと、上に上がってどんどん小さくなっていくのは困る。儲けるなと言いながら、儲けすぎるなと言いながら、儲けろ、って難しい。それを要求している。次の2頁目、もし寄付金があれば、これは収入としては大変ありがたい、それをちゃんと示して下さい、ということがある。


 そして(2)、経理処理・財産管理の適正性については、きちんと会計をやっているんですか、区分経理をしているんですか、ということだが、今回、20年度でもって、新々会計基準、20年度改正基準、公益法人会計が大改正されて、最終的には、先ほどの別表G表を作るような会計基準だが、それを作ることを今回仕組んでいる。悲しいかな、20年改正が複雑だったために、ソフトが間に合わない。12月にはできない。1月が危ういという状態。そういう中で進んでいるので、今ある会計としては、16年改正と言われている会計基準を使うことになってくると思う。ただし、この16年改正はいいが、多くの法人にアンケートをとると、まだ3割が旧会計基準すなわち60年改正基準を使っている。60年改正基準は、平成20年12月1日以降、最初に終了する年度で、公認会計士は、監査証明を出せないと決まっていて、実質的には、たぶん今年の12月の決算の場合には、今年の12月まで、来年の3月決算は、来年の3月までだ。


 私の見ている法人さんは、旧基準でやっているので、1月から変えなければならないが、会計ソフトができていない。そうすると1年だけ16年改正基準のソフトを買って、また翌年度、20年改正基準のソフトを買わないといけないという悲劇が起きている。当初は12月にできるはずだったが、あとは見切り発車で、1月から20年改正基準を手作業でやるのもありかと思う。旧会計基準を使っている方は、すぐ止めなければいけないということなので、出来れば、20年改正基準にしてしまった方が楽だと思う。4月の事業開始年度だったら、(ソフトが)たぶん間に合うと思うが、12月は間に合わなかった。


 次に(3)の情報開示の適正性。2階に上がるためには、外部監査を受けているか、が必要になってくる。ただ最近、公認会計士の監査料が高騰、急騰、暴騰している、大変な負担になってくると思う。たぶん今までどおりでは済みません、ということを公認会計士に監査を依頼している方は言われ始めていると思うので、外部監査が結構厳しくなってきたかなと思う。


 そこで考えたのが、そうでない場合ということで、収入または費用の額が1億円以上の法人には、監事を公認会計士または税理士が務めること、これがあれば2階に上がってきてもいいことになっている。チェックポイントに入っていないが言われていることとして、有償であることというのがある。無償ではまじめにみるわけがない、ということだそうだ。だから、有償でもって公認会計士に監事に入ってもらう、または税理士に監事になってもらう。今回、監事が厳しくなっていて、そんな話をすると監事辞めると言われてしまうと皆さん、思っているらしいが、職業専門家があれば、それが加味されるだろうということだ。


 収入が1億円未満の法人は、営利・非営利法人の経理実務を5年以上経験した者が監事を務めるということであればいいが、その証明は、例えば、簿記検定の何級持っているとか、あるいは、全国公益法人協会が、非営利法人の会計実務についての検定をやり始めたと聞いているので、そういうものがあればきっといいだろう。


 そして2番目として、会計士の監査は高い、そこまでは要求しないけど、積極的にもう少し安めで会計士や税理士が関与する方法もあるだろう、ということで、マル2だ。「上記マル1は、これを法人に義務付けるものではなく、このような体制にない法人においては、公認会計士、税理士又はその他の経理事務の精通者が法人の情報開示にどのように関与するのかの説明をもとに、個別に判断する」ということで、マル1がある程度形式基準だが、マル2は、実質的に判断しましょう、会計の顧問契約とか結んでもらってその方にきっちり見てもらう、その方たちの能力がしっかりあると確認できればOKです、ということで、個別判断だ。ただ、監査は会計士のほうも責任が重いし、そこまでは責任を負えないし、またコストも高いし、というところで、マル2という方法もあるということは覚えておいていただいていいと思う。


 また従前どおり、従前、行政監査でもって、1億円以上の収入があるところで、公認会計士の監査が入っていたと思うが、今後、こういう監査になってくると、かなり厳しい、特に収支相償あたりが厳しくなってきて、今までいいって言っていたじゃないですか、という話が急に変わってくるということもありうるかと思う。そして技術的能力というのは、それなりの人をきちんと配置してくださいということをもって、経理的基礎という判定をする。これも簡単に考えるのではなくて、経理的基礎をしっかりと頭の中に置いていただかないと認定の取り消しになってしまうということで、実は簡単にエクセルか何かを使って、経費を足しこんで作っていたような法人さんがあるとすると、それはまずい。エクセルといっても、総勘定元帳をつくりながら、飛ぶようなんじゃなくて、領収書をどっさり持ってきて足しこんで作っているような法人さんは、経理処理、財産管理の適正性、十分な会計帳簿を備えることというところを、当てはまらない気がするので、ここも、2階に来るならばしっかりした複式簿記でもって、適切な帳簿もつけ、適切な証票も揃えなさい、通帳しかありませんというのは困ります、ということをここで示していると思っていただければいいと思う。

この部分は、大体理解できました。剰余金、財産増減、総勘定元帳は分かりませんが・・・