全国博物館大会(10)

 高山先生のご講演(ダイジェスト)の続きを。

 (認定法第5条第)8号の説明をしていく。公益目的事業比率が50%以上になることが見込まれるというのは、収支相償はクリアしたということを前提にして、費用だけを見る。どう見るかは、別表Gの公益目的事業会計、収益事業会計、法人会計の3本の大きな柱がある。それぞれの経常費用計の合計額、「公益目的事業の経常費用計の合計額」と、「収益事業等の経常費用の合計額」と、「法人会計の費用の計の合計額」をまず分母に足してください。分子は「公益目的事業の経常費用の計」を出して、それが50%を超えないといけない。


 公益法人は爪に火を灯して、なるべくコストを安くして頑張っていらっしゃるところが多い。特に収支相償も厳しい話だが、この50%も結構厳しい基準だと思う。公益目的事業を50%しないといけない。法人会計とは、管理費。役員さんの給料、総務経理の給料、会計士の監査報酬とかが、法人会計の管理費の経常費用の中に入ってくる。会計士の報酬が高いために50%を割ったというようなブラックジョークもあるが、そういう比率で50%を判定していくのは厳しい話だ。


 そこでどういうことを考えたか。従来、管理費と事業費って、事業費はその事業に直接関係あるものだけだった。だからわざわざ学芸員さんの給料とかを貼り付けずに、そういうものは全部管理費にして、要は、財団法人の職員の給料とかは全部管理費にして、事業費というのは、本当にかかったものだけだった。そうすると収支相償もダメだし、事業費の判定もダメだということで、それを配賦して下さいと変えた。最低入れなければいけない管理費を定義して、それ以外は合理的に配賦して下さいと、考え方を180度変えることにした。そのことが書いてあるのが、ガイドラインの8〜9頁目。事業費と管理費の定義が入っていて、事業費は、「当該法人の事業の目的のために要する費用」で、16年改正基準は、「直接要する費用」という「直接」が入っていたが、「直接」を取った。


 管理費は、「法人の事業を管理するため、毎年度経常的に要する費用」として、「総会・評議員会・理事会の開催運営費、登記費用、理事・評議員・監事報酬、会計監査人監査報酬」、これはさすがに管理費として整理している。これは、事業費に配賦することはダメ。


 事業費は、今まで管理費としていたが、ここで事業費にしたいとするようなものとしては、理事長はダメということになったが、専務理事までなら、その理事報酬のうち、公益目的事業の割合を例えば7:3で、7割が公益目的事業をこの専務理事がやっていたということなら、そっち持って行って下さい。3割だけ管理費に残して下さい、というような考え方ができるような余地を残した。前の会計とは大きな考え方の違いだ。あるいは、管理部門、総務、会計、人事、厚生などの管理部門で発生する費用も、事業費のためにやっていると考えられるなら、それについては持って行くことができる。そうすると分子が上がるので、分母はどこに置こうと同じなので、50%基準をきっとクリアするはずだ。


 また、事業費か管理費か区別できないようなものがある。その例がガイドラインの9頁目のマル2、例えば、法人の建物の減価償却費や、地代・家賃、こういうものがあれば面積比でもって共通費を事業費に配賦して下さい。あるいは福利厚生費があれば、これは職員の数でもって配賦するとか、給料などは従事割合だとか、コンピュータのリース代とか部品の減価償却費は、使っている割合などを作ってやって下さい、というやり方を決めている。


 どこまで詳しく調べるんですかという話だが、従事割合って、ストップウォッチを持って把握するんですか? タイムレコーダーでタイムレポートを書いて把握するんですか? そこまでの要求をしたら、無理だ、できないだろうと考えていて、そこまではいいですよ、と。FAQの2ページ目の2番、「事業費と管理費に共通して発生する費用をどのように事業費と管理費に配賦するかについては」。ガイドラインに書いているのは、「例えば」で、これにこだわらなくていいですよ、と。これ以外に適当と判断した基準があればそれを採用して構わない。「いずれにせよ過去の活動実績、関連費用のデータなどから法人において合理的と考える程度の配賦割合を決めてもらえばよく、その算定根拠を詳細かつ具体的に記載することは求めていませんし、法人においてデータ採取等のため、多大な事務負担を掛けていただく必要はありません」と書いてあるので、専務理事が7割が公益目的事業をやっている、3割だけが法人事務だと決めていただければ、嘘だとは言わない、ということがこの辺の文脈から読み取れる。なので、表にしておく、配賦割合の一覧表を作っておく、というところが重要で、その一覧表を作った元データ、根拠を細かい段階まで出してもらうところまではいいですよということを、ここで示している。だから5割基準を切らないで下さいということ。2階に申請した法人については、1階に下がるようなことは止めて下さいというのが共通費の配賦の考え方だ。ただ、一覧表を作ってないと困る。この基準でもってやってます、というところは、さすがにそこは作って下さい、その下まではいりません、ということだ。


 それでも50%行かない場合に、どうにかして、50%をクリアしてもらうために、4つ、費用とみなす方法を考えている。1.自己所有の土地のみなし費用、2.ボランティア、3.特定費用準備資金、4.融資の場合のみなし費用、という考え方の4本立てで、分子を上げて下さい。分母も上がってしまうが、分子も上げて下さい、という考え方だ。


 建物を借りた場合には家賃がかかる。でも建物を自分で持っていたら、減価償却費がかかる。どちらも正味財産増減計算書の経常費用に載るもので、金額の多さ、少なさはあるが、どちらも載る。土地を借りたら地代を払う、土地を持っていたら何も払わない、ここのアンバランスを調整するために、自己の所有の土地があったら、みなし地代を算定してもらって、それを分子・分母のところに載せてもらうのは一向に構わない。そういうことを計算する表を用意していて、2階へ行くときの申請書類、公益認定の申請書類の4頁目【別表B(2)土地の使用に係る費用額の算定】、50%の判定基準をする場合には、土地使用に係る費用として、みなしの地代を書いて下さい、そこに書いてあれば、きちんと費用として分母・分子にカウントしてもいいという表も用意している。


 ボランティアについても同じように考えていて、6頁目の【別表B(4)無償の役務の提供等に係る費用額の算定】で根拠資料を作ってもらう。どういうふうにボランティアでやってもらったかを、ここできちんと金額を書いていただくことによって、分母・分子に入れることで50%基準をクリアして下さいと考える。よく言うのが、大きなイベントをしたときに、ボランティアの方がたくさんいらっしゃって、交通費だけでやってくれた方がいる。その方には、一つの案としては、最低賃金で時給を計算してもらい、それを分母・分子に入れてもらうことで50%基準をクリアしてもらう。マラソン大会などを主催した財団法人があれば、かなりボランティアの方で運営されているので、そういうものもクリアしようという現われだ。 


 将来こういうものに使いたいというものをちゃんとお金を積むという場合には、それも将来の正味財産増減計算書に載るかもしれないが、先ほど言った収支相償のところでもって、費用の相償でカウントしたのだから、ここでもしましょう、というのが、「特定費用準備金の積立額」という考え方だ。これは先ほど見た【別表C(5)特定費用準備資金】できちんと書いていただくことになる。それを書いていただけばOK。ただし美術品はダメ、美術品は将来、使うものではなくて資産となってバランスシートに載るもので、それはダメ。むしろ、正味財産増減計算書で消えてなくなるようなもの、人件費だとか、パーティ費用とか、記念品とかに使うもので、美術品とかがここに入るというのは誤解だ。


 貸付やっている場合には、金利を安くしているので、金利差なんかを入れて下さい、というのが「融資に係わるみなし費用」だ。


 今見たような形で50%基準をクリアして下さい。私が今見ている法人さんなんかも、収益事業が大きすぎてなかなかクリアできない、辛い場面もある。


 ガイドライン、3つを説明した。一つが収支相償、一つが経理的基礎、そして一つが今、申し上げた(公益目的事業比率)50%基準だ。

 この部分も、ほぼ理解できました。あともう少し!