台北市立美術館

 台湾に着いた。国交バスのリムジンに乗って、最寄りのアンサバダーホテル前下車。台湾桃園国際空港から小1時間ほどか。少しうたたねして、気づいたら、バスはもう繁華街に入っていた。隣のおじさんが、私の地図を覗き込んで(英語で尋ねてきて)、運転手さんに声をかけてくれた。Next Stationだという。運転手さんは、荷物ある?と片言の日本語。謝謝、といって、バスを降りる。銀行やブランドショップが立ち並ぶ、高級そうな街並み(中山北路)。地図を見ながら、そう迷わずに、宿泊先にたどり着いた。部屋に案内されると、びっくりするほど、上等なホテル(予約サイトで口コミの評判が一番いいところを選んだ結果)。
 今日は、アクセスが簡単そうなところを選んで、市立美術館にまず行くことにした。MRTという地下鉄(途中からは地上の高架を走る)に乗る。Easy Card(悠遊)というICカードを買う。500元で、MRTと市内バスが乗り放題というカード。ピタパみたいな感じで便利だ。
 MRTの圓山駅下車、たくさん若い人が同じ方向に歩いていく。2010年国際花卉博覧会の会場建設が進んでいる。人の流れに沿っていくと、その人たちは、みな、台北市立美術館へ向うのだった!


 ものすごい人の行列。よほどの人気作家かと思ってよく見ると、「動画20年」とある。いやな予感は、スティッチやドラエモンの着ぐるみを着た人たちが列に並んだときに、さらに強まる。列はどんどん長くなり・・・大丈夫か?台湾の若者たちは・・・。

 肌の色が褐色の子どもたちが、先生に連れられて、出てくる。大人は、色鮮やかな刺繍の布を肩から垂らしている。原住民の民族学校のようなものがあるのだろうか。
 どうも特別展以外は無料のようで、しかし、怖いもの見たさ(?)で、列を並び通して、入り口で消毒薬を両手に吹きかけられて入館。切符を買うのにも、展示室に入るものまた長い列。で、入った特展は、案の上、ニモとかの原画や、模型等々であった。
 動画制作の工程を壁面に書いた箇所では、真剣なまなざしで男の子たちがメモを取っている。〜〜う〜ん、こういう情報に飢えているのかなあ??
 列に並んでいる間に考えた以下4説。
1.台湾も現代美術を扱う美術館は入館者数が少ないことに悩み、集客できる企画展を開催することになった。
2.市民のニーズに合わせることを使命と考え、人気のある動画展を開催することにした。
3.台北は人口密度が高いから、何をやっても人で溢れかえる?
4.学芸スタッフは、大真面目で、これを現代美術と考えている。
どれでしょうね?
 さて、動画展以外は、がら空き。地下に面白い写真があった。“Go to a flower market and make a bouquet of flowers as big as possible”(2009)、タイトルそのままの作品。作者は、と見ると、田中功起さんであった。
 地下には、他にPCをたくさん並べた子ども向け教育普及ルーム。幼稚園児くらいの小さな子どもたちが、先生に指導を受けていた。
 上の階は、25周年記念コレクション展「25年典蔵精粋」。侯俊明「捜神」という作品の小部屋で、高校生くらいの男の子たちが、先生の解説を受けている。床すわりのアメリカンスタイル。で、この作品群は、「回春神女傳」とかなかなか過激な描写。入り口に、「本展覧因内容限制、十八歳以下観衆請勿侵入」とあって笑った。先生は大真面目。男の子たちはクスクス。