国立故宮博物院

 昨日(10月30日)は、国立故宮博物院へ行った。MRT士林下車、改札を出ると、案内板が出ている。まず、バス停案内。

 「公車」は路線バスのこと。この番号の中のどれかに乗ればよい。


で、バス停を探して、路線バスに乗り込む。運転手さんには、ホテルで手に入れたパンフを見せて確認。お客さんが少なく、故宮で降りる人いるのかな〜と不安いっぱい。でも、無事、たどり着いた。ここも、とってもトロピカル。



 チケット売り場で、またパンフを見せて、順益台湾原住民博物館とのコンビチケット(割引)を買う。
 展示室は3階までで、地下1階はショップ、4階はレストラン。フロアマップに○を付けながら、1階から適当に観覧開始。最初に入った部屋は、金銅の仏像展示。西蔵チベット)の仏様2体がとても魅力的。明(15世紀)の「南天王立像」と「大黒天像」。どちらもずんぐりしていて、ほほえましい。こんなお像が見られるのなら、チベット、行ってみたいような。
 清代歴史文書珍品展。歴史文書が数多く残されているのは、「清代統治者の意識的管理と保存」があったからだそうだ。「大清世宗憲皇帝本紀」には満漢文体というのがあって、まるっこい字を初めて見た。清朝満州族は、漢人文化を重視して類書に力を入れ、データベースの構築に匹敵する作業を行ったのだそうだ。
 1階の東側と2階の一部では、「雍正−清世宗文物大展」が開催されていた。驚いたのは、出展が、「北京故宮博物院37点のコレクション、上海博物館、中央研究院言語研究所、ほか個人所有」となっていたことだ。北京の故宮と、台湾の故宮博物院は、犬猿の仲なのかと勝手に想像していたのだが・・・。今日になって、ホテル備え付けの「ディスカバー台北」という雑誌(73号)に、この辺りの事情が書いてあった。「両岸故宮博物院の祝賀的交流」。以下、引用。

国立故宮博物院は今年の雙十節(建国記念日)で創設84周年を迎え、異例となる北京の故宮博物院との共催で、「雍正〜清世宗文物大展」を開催します。これは、台湾、中国の両岸交流の大きな一歩となっただけでなく、1948年に故宮博物院が北京から台湾に移転して以来、台北、北京でそれぞれ所蔵されている文物が台北故宮博物院に一堂に集まった初めての展覧会でもあります。・・・今回、雍正帝の展覧会を契機に政治の壁を越え、両故宮博物院が初めて協力することになったその意義は大変大きいといえましょう。(44−45頁)

  2階には、陶磁器の展示もあり、金の定窯の「百瓷印花牡丹百褶盤」や北宋汝窯「青瓷水仙盆」などが印象的だった。実は、この辺り、日本人と思しきサマースーツ姿のおじさんが一人、じっと器に見入っている。私はおじさんをさりげなく観察。おじさんはポケットから小さな筒型の拡大鏡を取り出し、器の文様等細部をじっと眺めている。趣味の人か、その筋の方か・・・なかなかお目が高いようだ。
 2階には、専門書を中心としたショップがある。廊下部分にも展示があり、唐の「灰陶加彩馬」が格好良かった。
 3階は、青銅器や玉器の展示。商の時代から展示が始まる。壁面に、「銅器器形演変図」があり、商−西周−春秋−戦国−秦漢、と一覧表になっていて、なかなか教育的だ。もちろん、実物資料がど〜んとあり、巨大な鼎などがたくさん。
 器物特別展示室では、磁胎洋彩vs. 磁胎画琺瑯の展示を行っていた。両者の違いをパネルで紹介し、実物を並べて比べてみる趣向。二重構造の透かし彫りの壺は、どういう組み立てになっているのか、これもパネルとパーツ分けした実物で説明してある。入り口にあった乾隆8年「磁胎洋彩青地金花魚遊春水瓶」は、表側の陶器の穴から、内側の模様が見えて、中に金魚が泳いでいる趣向。
 工芸品のコーナーが、故宮博物院の最大の目玉らしく、ここは一方通行のロープが張られている。幸い並ぶこともなく、比較的空いた時間帯に見ることができた。で、最大の人気は、白菜。清の「翠玉白菜」で、緑と灰色のヒスイを上手に加工したもの。白菜の上に、キリギリスとイナゴが乗っていて、キリギリスは子孫繁栄の象徴なのだそうだ。「瑪瑙仏手」というのも格好良かった。もう一つ有名らしいのは、清の「肉形石」。
 2階に戻って、本を買い込む。図録等はいっぱいありすぎて、重いし高いし・・・。そんな中で、お手軽と思ったのは、『故宮文物 月刊』という国立故宮博物院が刊行している雑誌。バックナンバーがずらりと並んでいたが、中身はカラー写真が多く、値段も200元。これなら、大学の図書館に入れてもいいのでは、と思う。
 1階のもぎりを出たところで、突然、「アンケートに協力して下さい」と日本語で声を掛けられる。お礼に「白菜グッズ」がもらえると分かり、ニコニコと応じる。日本語に翻訳されていて、5段階評価。おせじ抜きで、ほとんど5にチェックを入れた。だって、展示内容にも、展示方法にも、動線にも、非の打ち所がないのだもの。唯一の不満は、団体客。ものすごい数で、またガイドの解説に群がるものだから、こちらも身動きできなくなってしまうのだ。でも、これは博物館が悪いわけではない。プライベートに少人数で現地ガイドを雇っている日本人客も多い。1組だけ、お揃いの帽子をかぶった中国からと思しき団体もあった。へ〜台湾に旅行で来られるんだ・・・とちょっと、東西ベルリンのことなど連想してしまう。
 アンケートには、職業を選ぶ欄もあり(日本ではこういうのは中々無理だろう)、その訳が「超訳」であった。「家政婦」という選択肢があり不思議な気がしたが、あとでよく考えると、これって、「主婦」の誤訳??
 4階のレストランで食事。あまりに長くなるので、この話は省略(初めて中国茶なるものを味わう)。そのあと地下1階のショップ(外貨の両替をする郵便局まである)へ。館の刊行物『物華天宝』というのを買う。この本の後半に、またまたびっくり。「展覧組の教育活動」とか、「デジタルコレクション計画」とか、このあたりは、まあ、日本と同じ。「出版組によるミュージアムグッズの創造」で、「故宮ブランドの内容と販売戦略を系統的に企画」とか。「画像使用権」、「各企業との業務提携」と続く。でもって、なんだかキャラクターグッズに飛ぶのだ。(キャラクター、あんまりかわいいと思えないんですけど・・・)