初めての液浸標本

2010年2月4日追記:本記事をご覧の方は、併せて2010年2月4日の記事をご覧下さい。赤い虫についての専門家の意見を掲載しています

 朝、起きたときに覗いてみると、昨日の寄生虫が動いた気がした。プラカップの中で、生きていた模様。リビングの室温は11度、寄生虫を置いていた玄関先はもう少し寒かったはず。コイツは、低温でも生きていられるんだ・・・
 通勤途上、つらつら考えるに、コイツの処遇は次の三択。
1. 液浸標本にして、専門家に同定してもらう。
2. どの程度生きるか、飼育してみる。
3. 薬につけて、どんな反応をするか実験してみる。セラのネマトールと、その前に買って結局使う勇気の出なかった、トロピカルNでも実験してみる。ただし、これには、もう1匹必要。

いずれも、魅力的な選択肢だ。出勤すると、たまたま、学生さんに貸していた『標本の作り方』が返ってきた。それで、ひとまず、標本作りにチャレンジしてみる気になり、帰りに薬局でエタノールと脱脂綿を買って帰った。ガーゼも買った。これは、水を吸い上げる時に稚魚を吸い上げないようにプロホース等の先端につけてみたらどうなるか、以前から一度試してみようと思っていたため。薬局のお兄さんは、完全に、怪我の治療と思っただろう。
 おしゃれなジャムの小瓶がとってあったので(こんな用途に使うとは・・・)、ラベルと脱脂綿を入れて、エタノールを入れた。それから、寄生虫をスポイトで吸い上げた。ちぎれやしないかとはらはらしたが、ここで、想定外のことが起こった。吸い上げた寄生虫が、スポイトの内側に貼りついて、びくともしない。昨日、プラカップに移した時は、すぐに、スポイトから落ちたはずなのに。仕方がないので、使い捨てスポイトを輪切りにして、スポイトごと、エタノール漬にした。透明なスポイトなので、これも寄生虫がピンと立ったような形になって悪くない感じ。かくして、生まれて初めての液浸標本が完成し、ちょっと嬉しい。

 ところで、帰宅した時点で、寄生虫は、もろもろのごみ(グッピーのフン?)と一緒に団子状になっていた。水槽水を少ししか入れてなくて、ほぼ蒸発していたから、てっきり干からびて死んでしまったと思って、がっかりしていた。ところが、あとで見ると、私がカップを動かして、わずかに残っていた水が流れたからか、またのびのびと、元気な姿を見せたのである。少なくとも、丸1日以上、10度台の水温の中で、生き延びることが分かった。