「日本人の観光と縮む島」
だいぶ前から書きたかった文献(記録)がある。『人文地理』62−1(2010)に掲載の、第99回地理思想研究部会(2009年11月7日開催)での山口誠さんの報告要旨。
本報告では、(1)こうした「グアム抜きのグアム観光」が成立した歴史を社会学の視座から読み解き、(2)現在の日本人のグアム観を「縮む島」として指摘し、(3)現状に対する一つの方法として観光ガイドブックが持つ可能性について報告した。
とのこと。そして、
こうした「縮む島」の現状に対して、本報告では、分析対象としたガイドブックを外在的に批判し検討することに加え、あえてその内側から同島の地理と歴史を拡げる試みを紹介した。
で、山口さんは、「地球の歩き方」グアム編(2010−11年度版)に、「ハガニア時間旅行」という12頁の特集記事を書いたのだという。「「縮む島」の外部にある多様なグアムの文化と歴史と出会う「時間旅行」という観光文法の提示に努めた」と。観光文法か・・・
「観光ガイドブック研究の課題」を提示して終えたとのことで、人文地理学もなんて魅力的な学問に変貌したものか、と感動する。
山口さんの名前で検索をかけると、まさにこのグアムの話が出て来た。単行本も出版されている。
山口誠『グアムと日本人』(岩波新書、2007)
山口さやか・山口誠『「地球の歩き方」の歩き方』(新潮社、2009)
前者には、観光ガイドブックの3類型が載っているそうだ。
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ところで、全然関係ないが、最近授業でチキさんの本をみんなで読んでいて、「るるぶ萌え版」正確には、「もえるるぶ」?ってのが出てきて、こんなの本当にあるんか??という話になった。第一、男子は、「るるぶ」というジャンルを知らないのだ。
ま、それはともかく、山口さんの本には、「もえるるぶ」も分類されているのかな?(すでに岩波的文化から逸脱してしまった私・・・)