みんなでつくる淀川大図鑑

久々にブログ更新。首が回らないながらに生きております、はい。一度離れると、なかなか億劫になって書かなくなるものです。
さて、昨日、大阪市立自然史博物館の特別展「みんなでつくる淀川大図鑑 山と海をつなぐ生物多様性」を見てきました。日頃のご恩返しに(&種子島合宿に行けなかったので、グスン)、バシバシ紹介&突っ込みます。しかし、いつになく突っ込みどころが少ない・・・というのが、今回の特展の最大の欠陥(?)でした。以下、いつもの文体で。

まず、このビー玉転がし。実際にやってみたが、蛇行の度合いと流れの速さが実感できる。展示室内は、ワークシートをボードに挟んでメモを取る高校生が三々五々。あとはそれっぽい高齢の男性。ちょっと寂しい・・・平日の午後。この猛暑だから仕方ないか。

今回一番見惚れた展示。オグラコウホネのレプリカ。実によくできている。K科学さんか?いや、監修が(も)素晴らしい。我が家の水槽でコウホネを植えていたが、水中葉の質感がよく表現されている。

カニ、貝類の展示コーナー。カラー写真、解説、分布図、標本がセットになっていて、見事。展覧会終わったら、教材用にパネル譲り受けたいくらいきれいにできている。

カヤネズミとその巣。

イソシギコアジサシ等の標本が、卵とセットで並んでいる。何の卵?の疑問に答えるため?

楠葉の河川敷。ヨシ類が壁に。アイロンをかけたというのは、これのことか。

城北ワンドの魚の変遷。これは見事な大すだれ。

映像展示3本。最初のイタセンパラのVTRは分かりすく、映像も美しい。このVTRを見て、「水制工」とワンド、タマリが理解できた。入口すぐの展示は、ついざっと流し見してしまうので。このVTRの席はクーラーが直撃するかして、とても寒くなった。


2本目の道頓堀川のVTRが始まったところで、つい「展示室寒いです」とツイート。そこへ、ちょうど龍神様(のお使い)が入って来られ、慌てる。生体展示へ一旦移動。そんなわけで、2本目は見そびれた。
3本目は昔の水害のVTR(たぶん無音)で、う〜ん、となった。
1本目の話に戻ると、淀川大堰の設置で水位の変動が小さくなり、増水時のかく乱が起きなくなり、ワンドやタマリの生物多様性が失われつつある、という話なのだが、3本目から喚起される「水害いやね」という多くの人たちの感情とどうすり合わせていくのか、どうもそこのところが悩ましかった。帰宅後、解説書を読むと、今後の努力の方向(ワンド内をかく乱させるための一時的な増水といった水位調整策)などが示唆されていたが。

楽しみにしていた生体展示。ミナミヌマエビスジエビのいる水槽。ゼンスイのクーラー「寒流60MC」の温度が18.4度に! ミナミって、そんな低温で平気なのか・・・びっくり。

これは何? イシガメとクサガメの水槽に発見した「SPACE POWER FIT」なるもの。帰宅後検索すると、水作の水中フィルターらしい。これの性能やいかに。

カワヨシノボリ、ホザキノフサモ、メダカの水槽。カワヨシノボリが上っている銀色の湾曲パイプは・・・これがゼンスイ寒流の冷却装置なのか? 張り紙があって、温度設定は不明。鍵がなくなった?

カワムツとタカハヤの水槽には白点病が出たそうで、メチレンブルーで薬浴中だった。水温が一時低下したのが原因らしいとのこと。

マニアぶり全開のヒメドロ&ゴミムシ展示群。なぜ、ヒメドロムシとミズギワゴミムシなのか・・・と、帰宅してから不思議に思った。展示室内にその説明はあったかな?解説書には、ミズギワゴミムシは(オサムシ科)とあったので、何となく歴史的経緯に思いを馳せた。

植物のコーナー。ここでもレプリカに見とれる。標本類も、造形的に美しく、見ていて楽しい。職人技だよな、とも思う。
ホシクサ・・・こんなんだったんだ。

オニバス・・・実はスライスして標本にするんだ。下の紙袋には、タネが入っているのかな?

ジュンサイ・・・瀬戸先生の採集・・・

オオフサモの標本の下には、すごいラベルが。「日本の侵略的外来種ワースト100」

ボタンウキクサ地獄。懐かしのペーパーフラワー(の紙)。私はてっきり、水平に展示されるのだと勝手に想像していたのだが。床面一杯だと迫力満点なのになあ。そういえば、そのイメージは、藤浩志さんの「お米のカエル物語」DVDで見たのだった(1992年「2025カエルの池シンポジウム」青山スパイラルガーデンでの展示。)http://www.geco.jp/top.page/Frogs/Frogs.html

ワニガメ。全然動かないので、生きているのか不思議。しかし、水槽に入っているし。・・・と、おじさんに話かけられた。おじさんは、十分すぎるほど予想できる行動に出た。ドンドン・・・あ〜っ・・ダメダメ。
水槽の縦幅がないので、ワニガメ君はどうやって動くの?状態か。

出口前の「淀川水系藻屑蟹双六」・・・これはぜひ、と帰りにオリジナル手ぬぐいを購入。このアイデアはすごい!(カメムシシアターが実現できなかったのは残念だが)

そして最後に、あまりに似すぎのイラスト。

さて、この展示、何が物足りないのか、生意気にも考えてみた。まだ、答えは出ていないが、とりあえず思いついたことを。
1.多数のアマチュアを巻き込んだ気合いの入った調査活動だったのに、あまりに展示が洗練されていて、部外者にはその熱気(?)が伝わりづらい。学芸会的展示でない所は好きなのだが。
2.ビー玉転がし以外に、観覧者がいじれる場所がない。例えば、地震展の立体メガネとか、キノコ展の変形菌をたくさん覗ける拡大鏡のような仕掛けがない。ミナミヌマエビは覗いたけど。
3.個々の展示に突っ込める面白さ(疑問点の誘発)が少ない。・・・上手に出来すぎている。

はい、我がままですね。いつもはパネル多すぎ〜とか、なんでこんなところにアルミホイルが入ってるの?とか言ってるくせに。関係者の皆様、お疲れ様でした。
あ、あと、貴重な学術調査成果だと思います。テンポラリーな展示より、長期的には、今回集めた標本&データ、プロジェクトYの皆さんの調査活動の蓄積こそ宝だと思います。解説書も充実してますね!