同定依頼に琵琶湖博物館へ

 思い余って、今日、琵琶湖博物館へ伺った。謎の生命体Xの液浸標本と生きた個体を持って。先日引用した本の著者のお一人、寄生虫がご専門のグライガー先生が、今日は質問コーナーのご担当なのだ。今日を逃すと、次は4月以降になる。
 生きている方の赤い虫を見せると、グライガー先生は、すぐに「研究室へ行きましょう」と案内して下さった。途中、「なぜ、寄生虫と分かりましたか?」と尋ねられ、一瞬、言葉を失った。確かに、これが寄生虫と断定できるわけではないのだ。
 少し前に、ある水族館の先生にもこの虫を見ていただいた。その時、「一緒にグッピーも標本にしておけばよかったのに。新種が発見できたかもしれない」と言われ、初めて気付かされた。犠牲になったグッピーを取っておけば、確かに解剖で確かめることができたのだ。☆になった当日は、そこまで思い至らず、子どもと一緒に庭に埋めた。

 グライガー先生は、魚類の先生方にも声をかけて下さり、結局、4人の先生方が顕微鏡を覗いて下さった。グライガー先生の見立ては、線虫ではなく、「ヒモムシ」ではないか、とのこと。その理由は、繊毛が生えているからだそうだ。グライガー先生は、たくさん、カマラヌス(Camallanus cotti)をご覧になっているはずだから、「違います」と言われると、これは、信ずるほかないだろう。
 私も、ちらっと、顕微鏡を覗かせて貰った。液浸標本の方は、虫がすっかり縮んでいたが、上手に、ピンセットで伸ばして下さった。北大に、ヒモムシの専門家がおられるので、同定していただけるか、聞いて下さるとのこと。この虫の中に丸い大きな粒がたくさんあり、卵ではないかとのこと。淡水性ヒモムシの図には、よく似た粒が描かれていた。

 ここで、問題は、振り出しに戻った。お魚の先生のお話では、ヒモムシでも寄生する可能性はあるとのこと。魚の白い糞は、下痢症状の時に見られること、ただ、体長ほどの長い糞は、普通は出ないとのこと(今、写真を確認したら、体長ほどの長さという私の言い方はオーバーだった)。塩浴で大概の(グッピー以外の)生き物は死ぬから、塩浴がいいのではないか、とのアドバイスをいただいた。また、プラカップで観察(実験)していたXが死んだのは、水質が悪化した可能性もある、とのことだった。
 
 私自身の記憶をたどるに、☆になったオレンジ君がひどく調子が悪くなった時に、長い糞が出たが、それが赤い虫だったのか、白く長い糞だったのか、記憶が定かでないのが致命的だ。同じ日に、水槽の中に、赤いXが泳ぐというかゆらゆらしながら底へ沈んで行ったのは確かに記憶している。オレンジ君を隔離してから出てきたのは、写真にある通り、白く異様に長い糞だけで、赤くはなかった。私の頭の中で、勝手に、赤いXとグッピーから排泄された白い長いものが、混同(早とちり)されていた可能性が高い。あとは、夢中でネットで検索するうちに、寄生虫説が浮かび上がった(だけ)なのだ。赤いXと、オレンジ君の死因の因果関係は、定かではないのだ。しかしでは、最近、よく見られた赤い糞は何なのか??
 ともかくも、「ヒモムシ」とは何ぞや? これは、グッピーに害があるのかどうか? オレンジ君の死因は何だったのか? はたまた、投薬治療後のグッピーたちの長い糞は何だったのか?? 30cm水槽の方は、3週間後に、もう一度、投薬すべきか否か? 謎と悩みはさらに深くなった。

 ところで、60cm水槽で元気を無くしていた2匹は、どの個体だったか見分けがつかないほど、元気になった。30cmの方も、まずまず元気になった。赤いXは、帰宅後、液浸にしようと思ったら、2月2日に薬液に浸けたもの以外は、溶けてなくなっていた。あらら・・・