水槽のその後/事業仕分け

 緩やかに連休が始まった。と言っても、金・土は授業。
 デカ君の松かさ病は、一向によくならない。グリーン・F・ゴールド・リキッドの薬浴を1週間弱、その後、ココア浴を1週間弱。ココアを食べてよく糞をしたのは、結局、前回ブログにアップした日だけだった。だんだん水槽が汚くなってきたので、目の細かい網で沈殿したココアを掬いあげ、徐々に薄い塩水に移行。その後、塩分も抜いて、今はカルキ抜きした水に「たね水」を加えただけ。デカ君、食欲もあまりない様子で、ほぼ絶食状態。ひどく悪化した訳ではないが、体に艶がなくなった感じで、鱗は相変わらず逆立っている。治療は難しそうなので、いかに老後のQOLを上げてやるかだろう。デカ君は、推定昨年の5月生まれ。
 本水槽の方は、こまめに換水をして、「たね水」を加えた効果か、3月初めには瀕死の状態になったホクロ君が、今では隅に隠れずに広い場所で泳げる程度に、元気を回復した。高齢の初代オス(推定昨年の6月生まれ)は、水草の茂みに乗っかるように浮遊して過ごす時間が大半だ。初代オスは単純に老いを迎えたのだろう。
 『プロファイル100 グッピー総論』(ピーシーズ、2008年)の中に、「治療できる理由は不明であるが、日本動物薬品社から市販されている「たね水」はこのカラムナリス症の予防と治療にかなり効果がある」(43頁)と書かれている。カラムナリス症だったのかは不明だが、ホクロ君には、これが効いたのかもしれない。

 そんなこんなで、朝な夕な、水槽の水換えに励む日々。60cm本水槽のコケ問題の解決は、まず底床改良からと考え、新たに大磯砂を洗って、表に干した。酸処理をして、砂を足す予定だ。本当は底床全部をリセットしたいのだが、50匹を越える大小のグッピーを全部を掬い上げる作業は、想像すらしたくない。

 水に浸けていたシポラックスも、今日、煮出しをした。1時間くらい煮沸をするので、その間、事業仕分け第2弾、国立館分をダウンロードしてみていたポイントは、1.資料購入のために、フローの運営費交付金ではなく、借入をするなりして弾力的な資金繰りはできないのか? 2.YS11の保存に年間900万円も使っているのなら、公開してはどうか、3.レストラン等店舗用地賃借が関連財団等に随意契約になっているのは見直せないのか?の3点と理解した。ちょっと、カチンと来たのは、改革推進局側が、資料購入費の使途として、一点豪華主義の目玉美術品購入を念頭に置いていたこと。説明人の側のパネルも、独法化後、入館者数が増えたことをアピールしたのはともかくとして、世界の美術展の中で、入館者数上位4位までが日本の国立館の展覧会、とアピールしていた点。
 まるで、超過密水槽の中にいるグッピーのような、人の頭しか見えないような、長蛇の列に並ぶような展覧会がよいかのような・・・って、まさか本気でそんなことを思っているわけではないよね。

 30分ほど見て、途中で見るのを止めてしまったが、1の論点は面白いと思った。何を買うかはともかくとして、資産の持ち方として、長期投資なのだから積極的に借金をしたらどうだ、という話。バランスシートに長期負債がなく、ほとんど純資産ばかりだ、と。説明者(文化庁)側からは、独法には、大きな買い物をするために、目的積立金制度があるが、第一期には、目的積立金が認められたが、第二期には、目的積立金の認定の基準がきつくなり、積み立てが認められていないという話があった。
 独法という形ではなく、美術、博物、科学の基金を設定して、目標を定めて戦略的に資料購入に資金を充てたらいいのでは、という方向へ話は展開した。

 と書き出して面白くなってきたので、続きを聞き始めた。
 青柳先生のお話。「世界の美術品が高騰している。中国・韓国が大変な勢いで購入しているので、(国立4館が物品購入費を融通し合って)1億円ほどを上乗せてしも欲しいのには手が届かない」 
 質問「長期投資として借入して美術品を購入するという方法は他国ではとっていないのか?」 
 青柳「ルーブルやロンドンのナショナルギャラリーがどのような基金でやっているのかは分からないが、テートモダンは宝くじの協会からの補助金が活用されている」←これ、質問に答えていませんよね。
 説明者「ルーブルは最近20億円の作品を買ったが、民間から寄付を集めて買っている」←これ、墓穴?? 

 ところで、借金して資料を購入というのは面白い話だが、よく考えてみると、営利企業なら収益を上げて負債を返済する。営利を目的としない博物館・美術館は、どうやって借金を返済するのかな??

 ここで、話は天下りの話に。科博の館長が文科省OBだという件は深く追求されず、肩すかし。

 そして、展覧会費用の話。青柳先生が美術品国家補償制度の話を始めるが、コーディネータに遮られる。まあ、これは質問(展覧会の期間を延長して収益を上げられないか)に答えたあとに、つい、思いの丈を述べてしまった、という青柳先生の熱意か。

博物館(文化財機構)と美術館の棲み分け(年代区分)の質問。説明人もごもご(ここがきっちりと説明できないとダメでしょう!)。「石器時代から明治時代まで」「それは世界的な傾向か?」「はい、だいたいそういう傾向です」←ウソやろう、それは。

 上げ足取りはやめておくとして、ここまでの話の大筋は、“コレクションの収集にもっとお金が必要だという認識は、ここにいる皆、共有している。国民に理解が得られるように努力しつつ、三独法共通で、あるいは基金のような形で現在の独法とは違う形を考えてはどうか”という話だったと思う。

 YS11の話は省略。YS11を科博が持っているなんて、今回取り上げられるまで知らなかった。なぜ、こんなにYS11の話で盛り上がるのか、最初は不思議だったが、よく聞いていると突っ込みの意味は理解できてくる。私は今更YS11を飛ばすの(動態保存というのか)は危険だと思うけど、深く考えずにYS11を引き受けて、関係費用を毎年900万円出し続けるのはどうなの・・・という話だろう。計画性のなさ(構想に対してお金がいくらかかるかの計算は当初あったのか)に突っ込みが入っていた。ここにはYS11保存問題だけでなく、日本の公共施設が長期的な運営・維持費を考えずに建設されてきた、というディープな問題が存在している。

 最後にレストラン・ショップの随契の話。立地条件が悪く、利潤が上がらない。そこを理解ある経営者をどれだけ探して来られるか。それを探してこられるなら、天下りの館長でもいいと思う、と蓮舫議員。美術館は企画競争で進めている、という話。賃料の設定の仕方(固定賃料と歩合制)など。この3番目の話は、自己収入を増やすためにどうするのかという話・・・ここは仕分け人の発想が陳腐。

 独法になってから入館者数が増えたのはなぜか、という質問。
 海外の制度をよくご存じでないようなのでもっと調べるように、という叱咤(これは本当にそうだと思う。そういう問題に興味を持ち、かつ横文字調査ができる能力がある研究者がこの分野に少ないのが非常に大きな問題だと思う。) 
 海外からのビジターを増やすための努力は、という質問。青柳先生、羽田にできる新国際ターミナルに、オランダ・スキポール空港内国立ミュージアム分館のようなパイロットミュージアムを作りたいとのこと、実現できるといいですね。



【追記】先ほど、デカ君が☆になった。夜、暗闇の中で、エアーストーンの横で逆立ちしているのを発見。ヒレはまだ動いていたが、次に見たとき、もう水中を逆立ちのまま、漂っていた。あっけなく、でも苦しむ姿を目にすることなく、天寿を全うしてくれたのだと思う。120匹を超すかわいい子孫を残してくれてありがとう!