私の嫌いなもの

 私が嫌いなものは「カタツムリ」と「ラッキョウ」である。
 幼い頃に住んでいた家の庭に、アジサイがたくさん植えてあって、カタツムリがそこら中にいた。縁側に上がってきて筋をつけていくヤツもいたし、誤って踏んだときのあのクシャっという感触が嫌だったのだ。
 小1の頃、よく男の子にいじめられた。目をつぶって手を出してごらん、と言われてキャー! とか。本気で怖がるので、余計面白がってしたのだろう。(なんて思えるようになったのは、ずいぶん大きくなってからだ)
 数年前、大人数授業で毎回集めていた小レポートに、目に余る嫌がらせを書いてきた学生がいた。あの頃はまだ若かったので、部屋に呼びつけて叱った。
 その後、その子は、ちょくちょく私の部屋に遊びに来るようになった。有能で、気の利く子だったので、いろいろと助けてもらったが、懲りることなく私の「嫌がりそうなもの」をせっせと届けてくる。反応を見て楽しんでいたのだろうか。
 彼は卒業してから専門学校へ進んで、漆塗りの勉強をしていた。2年ほど経った頃、ひょっこりと私のところへやって来た。
 「仏壇屋に就職しようと思うんだけど、どう思う?」
残念ながら、その時、彼に何と答えたのか、はっきりとは覚えていない。
 ところで、私にラッキョウを食べさせようとした人は今のところいない。いやいや、ブログには、ウニ、あわび、サザエが怖いと書いておこうか。