『環境問題の現場から』

 2日続けて、久々の飲み〜。往復の車中で、数日前から読みかけにしていた伊藤達也・淺野敏久編『環境問題の現場から 地理学的アプローチ』(古今書院、2003)を読み終わった。著者によってだいぶスタンスの違いがあるものの(違いがあるからいいのだが)、興味深く読んだ。
 一番インパクトがあったのは、
・外川健一「循環型社会をめぐる問題―自動車リサイクルのフィールド調査を題材に」
 離島で、放置車両が野積みにされているその実態に驚いたが、著者が職業別電話帳を用いて解体業者数を割り出したり、業者さんの知恵を借りるなど、「フィールドの面白さとそれを通じて得られる統計の読み方、解釈の仕方」が生き生きと紹介されており、事実としては深刻な内容なのだが、フィールドワークの醍醐味を感じさせてくれる小編になっている。
・ 島津弘「自然史研究から自然保護のアプローチ―上高地自然史研究会の取り組み」や、
伊藤達也長良川河口堰―水資源開発の問題点を突く」「裁判の原告になる―長良川河口堰住民訴訟」ほか、様々な角度から地理の研究者が環境問題にどう関わるかが模索されたり、主張されたりしている。本も軽いつくりで、持ち運びに便利。