「今、問われる 文化施設の使命とは」(5)

 小林真理先生のお話の続きを。

 文化施設は営利的に成り立たない。博物館や美術館は、(公的支援なしには)基本的には存在しえない。文化ホールはいざとなれば、チケット代に上乗せ(することができる)。S席に5〜6万円(つければ)、それで成り立つ。行ける人は限られるが。誰にでも供給しましょうという発想をとるなら、別のお金が入らないと。(劇やコンサートなどの)時間芸術は、1回に入れる人数が限られている。博物館や美術館でも会期延長は簡単にはできない。
 芸術文化は、市場原理に乗せれば、入場料を高くすればできるが、限られた人だけが行ける(のは、それで)いいかどうかが問題。
 民間が参入するなら、利益を追求できる、(あるいは)参入することに別の価値を見出すことができる、(つまり)社会貢献(による)企業価値の増大など。初期投資を必要としない新たな分野への参入など。あるいは、公共サービス参入への実績づくりなど。
 (民間の)新たな公共事業参入への注意点としては、公的資金の投入による資金繰りの確保が、民間企業・NPOの事業を拡大させ、(その結果、)質を本当に確保できるかどうかの見極め(が必要なことは、コムスンやNOVAの事例からも分かると思う)。
 また、労働環境は健全か?そこへの注意を払うのも、行政の役割では? また、NPOが公共サービスに参入することによって、自らのミッションを守れるか?
 全国公立文化施設協会が、(H18年10月時点での、指定管理者制度導入状況に関する調査を行っている)。その結果、回答2,189施設のうち、57.1%が直営、指定管理者制度を導入した施設が40.2%、その他が2.7%という結果で、指定管理者制度を導入した881施設では、誰が指定管理者になっているかというと、公共的団体が指定管理者になった施設が82.1%あった。(つまり)今までの外郭団体が指定管理者になったところがほとんど(という結果だった)。また、指定管理者の選定方法としては、公募が42.9%、非公募が57.1%で、なぜ、そこを選定したのかは、問われてくる。いいよ、を決めるのは議会(だが、指定管理者は)そこでいいの? 何でそれにしたの? の理由は(問われるが)どう決めるかは全く(自治体の)自由(に任されている)。【以下、続く】

後半は、特にコメントする点はない。最初の段落の部分は、“時間芸術”って高いのだな、という感想とも言えない感想あるのみ。おそらく、“時間芸術”は、極上の文化的な楽しみなのだろうが、例えば仮に1万円のチケットを買って、夕方から夜にかけてオペラに行くというのは、今の私の生活パターンからは考えもつかない遠い世界のことだ。日常的には恐ろしく出不精になっている(文化的欲求すら感じなくなっている)自分に気づく今日この頃・・・