ドーンセンターと府立博物館

 大学アドレスのwebメールを開いてみたら、知人からドーンセンター存続運動メールが届いていた。引用許可はとっていないので、概要のみ。

橋下知事が、図書館以外の府施設の廃止を検討している。13日に若手職員を中心にプロジェクトチームを立ち上げ、25施設の廃止の本格的検討を始めるとのこと。
・雪の中、有志40名が大阪市内で集まり、今後のことについて話し合い、「好きやねんドーンセンターの会」を立ち上げていくことになった。13日に知事に、「ドーンセンターは必要」という思いを届ける予定。
・2008年度のドーンセンターの新規事業はゼロ、しかも7月までの暫定予算で、それ以降は白紙とのこと。また、4月以降は、貸館、相談、情報ライブラリーは、セイフテイネットとして残すが、主催事業、主催講座、Newsはなくなるとのこと。
・廃止が検討されている他の施設も同じような状況。

 私自身は、ドーンセンター立ち上げの際に、ある方に誘われて、どんな施設にしたいか、女性たちの要望を府に届けるプロジェクトに、一市民として参加していた。そのとき、府の担当者(女性)にお目にかかる機会があり、「こんな立派な箱にお金を掛けるのだったら、人件費などのソフトにお金を使ってほしい」と言ったことを覚えている。担当者は、「ソフトも大事だけれども、せっかく府が予算をつけてくれるという今のうちに、建物も建てておかなければ」と回答された。その当時から、私は“立派な建物”が嫌いだったのだろう。今、調べると、ドーンセンターは1994年のオープン。子育てに一段落ついたその頃から、私自身の興味は、女性学からも離れつつあった(フェミニストでなくなったわけではない、念のため)。その後、結局、完成したドーンセンターには、一度も行かずじまい(だから、どの程度立派かも知らないのだが)。
施設というものは、日常的な利用者にとっては、心の拠り所のように大切なもので、その一方で、使わない人にとっては、へ〜そんなのあったの?ということなのだろう。
しかし、ドーンセンター関係者の動きはすばやい。

 さて、検索しているうち、こんな記事(日記)を見つけた。
・風のまにまに(2008年2月5日)
「「図書館以外は不要」橋下氏、大阪府施設の廃止・売却検討−小さな政府(地方行政ですが)を目指す大阪府の新知事」http://d.hatena.ne.jp/ironsand/20080205
・一本足の蛸(2008年2月5日)
「図書館と博物館と大阪高速鉄道http://d.hatena.ne.jp/trivial/20080205/1202223387
 
 で、この記事の中で、注目はココ!

そもそも論に立ち返ってみれば、同じ「大阪府施設」といっても、図書館や博物館は大阪府知事ではなく大阪府教育委員会の所管*7なのだから、廃止するかどうかを決める権限も教育委員会にある。ただ、ややこしいことに、図書館や博物館の予算に関する権限は知事が持っているので、実質的に施設の生殺与奪権を握っていることになる。もともと、教育委員会制度には、その時々の民意によって選ばれた知事が急激な改革を行うことを防止するという意味合いがあったはずなのだが……というような話を始めるときりがないので話題転換。http://d.hatena.ne.jp/trivial/20080205/1202223387

大阪府教育委員会の組織図はこちら

ところで、「大阪府弥生文化博物館、大阪府立近つ飛鳥博物館及び大阪府立近つ飛鳥風土記の丘の管理運営業務基本協定書」は、ここにあるのだが、指定期間は、平成18年4月1日から平成23年3月31日まで。指定期間の途中で、府側が一方的にや〜めた!なんてことは許されるのだろうか(ハコとしていかがなものか、という話はとりあえずここでは、おいておく)。ところで、

(委託料の支払い)
第17条 甲は、指定期間における管理運営委託料を、乙が応募時に提出した収支計画書で提示した金額を原則として、年度ごとに予算額の範囲内で乙と協議の上、各年度の契約書に基づき支払うものとする。

「年度ごとに予算額の範囲内で乙と協議の上」って、こんな書き方しかできなかったのだろうか。他の自治体では、どう書かれているのだろうか?
とりあえず、手近にあった本を開いてみると、三菱総合研究所地域経営研究センター編著『指定管理者実務運営マニュアル』(学陽書房、2006)には、こうある。

多くの場合において、指定管理料は毎年見直しが行えるような規定になっていますが、原則として不可抗力以外の理由による指定管理料の変更を行うのは適当とはいえません。指定管理者ははじめに自治体側が提示した条件で収支計画を立てていますので、それが変更されたのでは収支計画が大きくくるってしまいます。またそうした基本的な条件を変更することについては、公正な手続きという観点からも疑義が生じる可能性があります。これは、指定管理者が提案した費用より、実際の費用を低く抑えることに成功した場合も同様です。(154頁)

この話は、以下つづく(たぶん)。