ローマの休日編

 昨日、帰国しました。以前のように詳しくブログにアップする余裕がないので、行程と、特に気に入った場所などだけ、簡単にメモと写真をアップしておきます。(過去の旅行記も、途中で挫折していることが多いですし)。ほぼリアルタイムのメモは、ツイッターに書いてありますので、よろしければそちらもどうぞ。 
 8月15日(日)ローマ・フィウミチーノ空港着。Leonardo Expressの切符を折角買ったのに、いきなり、普通のfs線に乗り間違える。30分過ぎてもテルミニ駅に着く気配がないので、車内の人に聞くと、この駅で降りて地下鉄に乗り換えろ!と言われる。が、ドアはもう空かない。次の駅で下車し、反対方向から来た列車に乗って1駅戻り、ティブルティーナ駅で地下鉄に乗り換える。こっちの方がほぼ半額程度の値段で行ける。自販機で地下鉄切符を買う洗礼を否応なしに受ける。仕組みが分かれば簡単で、自販機はギリシアもほぼ同じ。
 8月16日(月)終日バチカン博物館。日本からネット予約していき、一通り全部見て回った。印象深いのは、ラファエロの間、ダントツによかったのは絵画館、あと、現代美術のコレクションも、クレー、ファイニンガー、キルヒナー、カール・シュミット、オットー・ディクス、ムンクシャガール、フォンタナ、ダリ、タマヨなどが揃っていて驚いた。
 写真は、絵画館内の光景。当然ながら、宗教画コレクションのレベル高い!

 バチカン博物館内のエジプト博物館、エトルリア美術館、乗り物館も面白かった。システィーナ礼拝堂は、人多すぎ。夕方、クーポラ、サン・ピエトロ大聖堂も見学。

 8月17日(火)ボルゲーゼ美術館へ。ここも、日本からネットで予約していった。2時間ずつの完全入れ替え制で、ゆったり見ることができる。館内は写真撮影禁止。ベルニーニの「アポロとダフネ」など。
 その後、「ローマの休日」のスペイン階段へ。人多すぎ。きれいな場所だが。サンタ・マリア・デル・ポポロ教会。パンテオン
そして、ローマ国立博物館アルテンプス宮へ。ここが今回の旅行で一番感激した場所かもしれない。建物内部が小部屋に分かれていて、室内にフレスコの壁画や天井画が残る。特に2階のロッジアが素晴らしく、展示されている彫刻よりも館全体のたたずまいと静けさに深く魅かれた。写真は、展示室光景と、ロッジア


最後に、サン・ルイージ・デイ・フランチェージ教会へ。カラバッジョの3部作、特に「聖マタイの召命」、実物を見られたのが嬉しい。

8月18日(水)朝、サンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア教会へ。ベルニーニの「聖テレサの法悦」を見る。写真は、ベルニーニのこの甘ったるい官能的な彫刻。

鉄道に乗って、タルクィニアへ。Fs.線ピサ行きで1時間半ほど。ここで降りたが、バス停に気づかず。ちょうど来たバスの運転手さんにネクロポリに行きたい、と尋ねると、バスターミナルから出ている、と言われる。よく分からず、バスには乗らずに歩き出す。1時間ほど歩いて、こじんまりした中世の面影の濃い素敵な町へ。国立タルクィニア博物館を見つけて入館。エトルリア文明の展示。写真は、『有翼馬』。

その後、迷いに迷って、ネクロポリにたどり着く。しかし、苦労して来たかいはあった。広い草原の中に古代エトルリアの墓が保存されている。地下に階段を降りて、ボタンを押すとライトがつき、ガラス越しに壁画を見ることができる。ただ、数があるのと、暑いので、全部見ようとすると、最後は消化試合的に。写真は、ネクロポリの光景と、古墳内部の壁画


こういう墓が20〜30基、内部見学可能な形で保存されている。これぞまさに現地保存だ!もうちょっと、博物館から現地までの案内板出すとか、地図作るとかしようよ。旧市街から外れているし、まさかこんなところにあるとは思わないよ〜
丘の上からは、起伏に富んだ大平原が見える。うわ〜い!

8月19日(木)ローマ国立博物館マッシモ宮へ。「リヴィアの家のフレスコ画」「ファルネジーナ荘の壁画」が素晴らしい。


午後のオリンピック航空機でアテネへ。(以下、続く予定。やっぱり書ききれない・・・)

みんなでつくる淀川大図鑑

久々にブログ更新。首が回らないながらに生きております、はい。一度離れると、なかなか億劫になって書かなくなるものです。
さて、昨日、大阪市立自然史博物館の特別展「みんなでつくる淀川大図鑑 山と海をつなぐ生物多様性」を見てきました。日頃のご恩返しに(&種子島合宿に行けなかったので、グスン)、バシバシ紹介&突っ込みます。しかし、いつになく突っ込みどころが少ない・・・というのが、今回の特展の最大の欠陥(?)でした。以下、いつもの文体で。

まず、このビー玉転がし。実際にやってみたが、蛇行の度合いと流れの速さが実感できる。展示室内は、ワークシートをボードに挟んでメモを取る高校生が三々五々。あとはそれっぽい高齢の男性。ちょっと寂しい・・・平日の午後。この猛暑だから仕方ないか。

今回一番見惚れた展示。オグラコウホネのレプリカ。実によくできている。K科学さんか?いや、監修が(も)素晴らしい。我が家の水槽でコウホネを植えていたが、水中葉の質感がよく表現されている。

カニ、貝類の展示コーナー。カラー写真、解説、分布図、標本がセットになっていて、見事。展覧会終わったら、教材用にパネル譲り受けたいくらいきれいにできている。

カヤネズミとその巣。

イソシギコアジサシ等の標本が、卵とセットで並んでいる。何の卵?の疑問に答えるため?

楠葉の河川敷。ヨシ類が壁に。アイロンをかけたというのは、これのことか。

城北ワンドの魚の変遷。これは見事な大すだれ。

映像展示3本。最初のイタセンパラのVTRは分かりすく、映像も美しい。このVTRを見て、「水制工」とワンド、タマリが理解できた。入口すぐの展示は、ついざっと流し見してしまうので。このVTRの席はクーラーが直撃するかして、とても寒くなった。


2本目の道頓堀川のVTRが始まったところで、つい「展示室寒いです」とツイート。そこへ、ちょうど龍神様(のお使い)が入って来られ、慌てる。生体展示へ一旦移動。そんなわけで、2本目は見そびれた。
3本目は昔の水害のVTR(たぶん無音)で、う〜ん、となった。
1本目の話に戻ると、淀川大堰の設置で水位の変動が小さくなり、増水時のかく乱が起きなくなり、ワンドやタマリの生物多様性が失われつつある、という話なのだが、3本目から喚起される「水害いやね」という多くの人たちの感情とどうすり合わせていくのか、どうもそこのところが悩ましかった。帰宅後、解説書を読むと、今後の努力の方向(ワンド内をかく乱させるための一時的な増水といった水位調整策)などが示唆されていたが。

楽しみにしていた生体展示。ミナミヌマエビスジエビのいる水槽。ゼンスイのクーラー「寒流60MC」の温度が18.4度に! ミナミって、そんな低温で平気なのか・・・びっくり。

これは何? イシガメとクサガメの水槽に発見した「SPACE POWER FIT」なるもの。帰宅後検索すると、水作の水中フィルターらしい。これの性能やいかに。

カワヨシノボリ、ホザキノフサモ、メダカの水槽。カワヨシノボリが上っている銀色の湾曲パイプは・・・これがゼンスイ寒流の冷却装置なのか? 張り紙があって、温度設定は不明。鍵がなくなった?

カワムツとタカハヤの水槽には白点病が出たそうで、メチレンブルーで薬浴中だった。水温が一時低下したのが原因らしいとのこと。

マニアぶり全開のヒメドロ&ゴミムシ展示群。なぜ、ヒメドロムシとミズギワゴミムシなのか・・・と、帰宅してから不思議に思った。展示室内にその説明はあったかな?解説書には、ミズギワゴミムシは(オサムシ科)とあったので、何となく歴史的経緯に思いを馳せた。

植物のコーナー。ここでもレプリカに見とれる。標本類も、造形的に美しく、見ていて楽しい。職人技だよな、とも思う。
ホシクサ・・・こんなんだったんだ。

オニバス・・・実はスライスして標本にするんだ。下の紙袋には、タネが入っているのかな?

ジュンサイ・・・瀬戸先生の採集・・・

オオフサモの標本の下には、すごいラベルが。「日本の侵略的外来種ワースト100」

ボタンウキクサ地獄。懐かしのペーパーフラワー(の紙)。私はてっきり、水平に展示されるのだと勝手に想像していたのだが。床面一杯だと迫力満点なのになあ。そういえば、そのイメージは、藤浩志さんの「お米のカエル物語」DVDで見たのだった(1992年「2025カエルの池シンポジウム」青山スパイラルガーデンでの展示。)http://www.geco.jp/top.page/Frogs/Frogs.html

ワニガメ。全然動かないので、生きているのか不思議。しかし、水槽に入っているし。・・・と、おじさんに話かけられた。おじさんは、十分すぎるほど予想できる行動に出た。ドンドン・・・あ〜っ・・ダメダメ。
水槽の縦幅がないので、ワニガメ君はどうやって動くの?状態か。

出口前の「淀川水系藻屑蟹双六」・・・これはぜひ、と帰りにオリジナル手ぬぐいを購入。このアイデアはすごい!(カメムシシアターが実現できなかったのは残念だが)

そして最後に、あまりに似すぎのイラスト。

さて、この展示、何が物足りないのか、生意気にも考えてみた。まだ、答えは出ていないが、とりあえず思いついたことを。
1.多数のアマチュアを巻き込んだ気合いの入った調査活動だったのに、あまりに展示が洗練されていて、部外者にはその熱気(?)が伝わりづらい。学芸会的展示でない所は好きなのだが。
2.ビー玉転がし以外に、観覧者がいじれる場所がない。例えば、地震展の立体メガネとか、キノコ展の変形菌をたくさん覗ける拡大鏡のような仕掛けがない。ミナミヌマエビは覗いたけど。
3.個々の展示に突っ込める面白さ(疑問点の誘発)が少ない。・・・上手に出来すぎている。

はい、我がままですね。いつもはパネル多すぎ〜とか、なんでこんなところにアルミホイルが入ってるの?とか言ってるくせに。関係者の皆様、お疲れ様でした。
あ、あと、貴重な学術調査成果だと思います。テンポラリーな展示より、長期的には、今回集めた標本&データ、プロジェクトYの皆さんの調査活動の蓄積こそ宝だと思います。解説書も充実してますね!

見学実習@アクア・トトぎふ

 久々のブログ更新。昨日、博物館実習・博物館学3(情報論・経営論)履修の学生さんたちと一緒に見学実習(バスツアー)で、「アクア・トトぎふ」へ行った。
 11時40分頃入館、館内自由見学、13:00から営業課長THさんからのレクチャー、引き続き、2班に分かれてのバックヤードツアー(約30分)、その後また1時間ほど自由見学。
THさんには、管理運営や組織のことを話していただきたい旨お願いしていたので、その線で資料等を用意していただけた。
 特に興味深かったのは、入館者数の推移と経営努力。いただいた資料から抜粋すると、
 H16 約750,000名(7/14〜3/31):当初予想は約510,000名
 H17 約510,000名
 H18 約405,000名
 H19 約370,000名
 H20 約410,000名
 H21 約430,000名
と、この数字を見ていると、なぜ、H20年度で減少傾向に歯止めがかかったのかが、気になる。で、質問させていただくと、この年にアシカショーを導入、陸ガメやカピバラを入れるなど、生き物面での努力をされたとのこと。(ここで、アシカショー導入のかねてよりの疑問は解決)。
 他にも、小さい子への対応や、WS、体験学習、ふれあいの場面を増やす等の活動をマスコミが取り上げてくれたことで、近隣からの来館者が増加したそうだ。来館者は東海3県が中心だが、大阪・東京からの来館者も徐々に増えているとのこと。
 (学生は、なんでカピバラ?と、最後のバスの中までこだわっていた。)THさんは、カピバラはアマゾン流域にすむ水辺の生き物なんですよ、アシカも、川の水は海につながっているということで、と上手にかわされていた。
 「PFI的手法」(県が30年間、有限会社ジー・エフ・エーから建物をリースしている)に関しては、帰りのバスの中で、博物館学3担当のTN先生が、「(館建設のために)県債を発行するのと、30年間リース代を払うのと、どっちが得か?」という難問を出された。リース代は固定なのか変動なのか等、色々気になるところだが、地方債発行の仕組みと、PFI法を勉強しないと、この難問は解けない。建物・備品の減価償却年数とリース期間の関係とか。30年後に建物は県に無償譲渡されるそうだが、その時、次のリニューアルにお金を出す企業が現れるのか?とかTN先生。このあたりを突っ込んで質問できればよかったのだが、見学実習という設定では無理があっただろう。

 さて、以下は写真集。いつものことながら、学生さんたちの写真を撮るのを忘れ、ひたすら水槽や設備の写真ばかり撮ってしまった。後から聞いた話だが、バスの運転手さんも、アクア・トトを見学されたそうだ。この手配を忘れてしまって、ごめんなさい。

 まずバックヤードツアーから。ツアー入口。

水温制御盤。

いいなあ、12.1はイトウ水槽? 展示水槽ごとに、水温設定をどこかに小さく書いておくと、マニア的には面白いかも。28.0はワニ水槽か??
重力式濾過槽。あふれた水はどこへ行く? 視力のいい学生が、濾過槽の中に稚魚発見。


圧力式濾過器。この仕組みはどうなっているのかな?


餌の調理場。

検疫、繁殖、治療のためのバックヤード水槽。

水質検査室。PH測定器とかほしいなあ。

臨床検査室。
白いのは、霊安室だそうだ。中はホルマリン??


両生・爬虫類のための餌コオロギと、コオロギ飼育のための加温室。


パイプの数々。

館内の写真を少し。テッポウウオ、私は餌落としは見逃したが、見た学生さんの話では、餌のボードがダーツの的のようになっていて、面白かったとのこと。

おめめパッチリのニシアフリカコガタワニ。

新しくできたハリヨ水槽。バイカモ、エビモ、ヤナギモ。写真と名前の対応がしやすい。


 コケがかなり深刻になってきた水槽。

 アクア・トトで一番気に入っているのが、この魚たち。動きが速いのと、暗いので、写真はいつも失敗。


 この水槽は、すっかり寂しくなった。

4月に魚が激減していたので、たまたま通りかかった飼育員さんに尋ねたところ、病気に感染してしまったとのこと。折角の水草水槽、底床から入れ替えた方がいいのでは。1月に行った時は、この水槽の前で30分は楽しめたので。(ちなみに、1月の写真はこちらをどうぞ→http://d.hatena.ne.jp/takibata/20100117
 ミナミヌナエビとヤマトヌマエビを比較したかった(←コケとり用にどちらがいいか、迷い中なので)。

 さて、アクア・トトぎふ、ipadを用いたポイントガイドを予定しているとのことで、Twitterでは盛り上がっていた。時間がなくて、この話は聞きそびれたのが心残り。http://twitter.com/aquatotto/status/14912294833
 ということで、大変お世話になりました。次は、ぜひプライベートでバックヤードツアーに参加したいです。
 

やはり、はまってしまった。

 懸念した通り、やはりはまってしまったtwitter・・・もう、戻れない・・・ついこの間まで、あんなに熱心に熱帯魚ブログ読んでいたのに・・・何か、目に映る景色が変わってしまった。
 Twitterの魅力が、一番、意味深げに書かれているのは、山本貴光さんの、下記のブログ記事だろう。
twitter――脳内シャッフル革命/ポスト談話室滝沢http://d.hatena.ne.jp/yakumoizuru/20100206
 山本さんのこの記事を読んだ時に、やってみようかな、と思ったが、「今でさえ、情報過多なのに・・・」とか思って、手を出さなかった。しかし理性より好奇心の強い私は、とうとう、トラップに落ちた。

 で、実際にやってみると、ものすごい情報量で、新聞より早くニュースをキャッチできる(←基本、TV見ないので)。これはフォローした人の中で、ニュース(つぶやき)を転送(リツイート)してくれる人がいるからだ。いかに今までの自分が狭い世界の中に住んでいたかがよく分かった。博物館関係で言えば、京都市の水族館計画がけっこう、地元の人に反対されているらしいこと。京都府立植物園が、4年連続、公立総合植物園で入園者数日本一になったとか。
 著名な文化人(と私が考える人)たちが、いかにアクティブか、ということ。GEISAI放送「日本画UST」実況中継があるのを知って、twitter、UST、チャットが同時進行する面白さにはまってしまった。http://www.ustream.tv/channel/geisai
2時間見て、ダレてきた時に、「もうそろそろ終わったらいかがですか」とチャットに書き込みをしたら、本当に、村上隆さんが、ではそろそろ終わりましょう、と。双方向性とは、こういうのをいうのか、と。USTは、実況でチャットが流れてなんぼ、というのも実感した。

 しかし、まあ、悩みもある。Twitterを始めて、いかに自分は文章が下手かを思い知った。むしろ、書くこと(主張する中身)がない? という深刻な問題。プロのクリエイティブ系の人たちが書く短い文章のうまさ(と伝えたいこと)に圧倒された。同じ時間の流れ(TL)の中で、何か新しいものが次々、生み出されてゆくのを、PCの画面の中で眺めているのは辛い。しかし、移動時間中に、今まで触ったこともほとんどない携帯画面を操作して、twitterのTLを読んでいる自分がいる。これじゃあ、何にもできないよ。
 新しい「デイリー・ミー」(わたし新聞)は、まずは、戸惑いとともにやってきた。

「日本人の観光と縮む島」

 だいぶ前から書きたかった文献(記録)がある。『人文地理』62−1(2010)に掲載の、第99回地理思想研究部会(2009年11月7日開催)での山口誠さんの報告要旨。

 本報告では、(1)こうした「グアム抜きのグアム観光」が成立した歴史を社会学の視座から読み解き、(2)現在の日本人のグアム観を「縮む島」として指摘し、(3)現状に対する一つの方法として観光ガイドブックが持つ可能性について報告した。

とのこと。そして、

 こうした「縮む島」の現状に対して、本報告では、分析対象としたガイドブックを外在的に批判し検討することに加え、あえてその内側から同島の地理と歴史を拡げる試みを紹介した。

 で、山口さんは、「地球の歩き方」グアム編(2010−11年度版)に、「ハガニア時間旅行」という12頁の特集記事を書いたのだという。「「縮む島」の外部にある多様なグアムの文化と歴史と出会う「時間旅行」という観光文法の提示に努めた」と。観光文法か・・・
 「観光ガイドブック研究の課題」を提示して終えたとのことで、人文地理学もなんて魅力的な学問に変貌したものか、と感動する。
 山口さんの名前で検索をかけると、まさにこのグアムの話が出て来た。単行本も出版されている。
 山口誠『グアムと日本人』(岩波新書、2007)
 山口さやか・山口誠『「地球の歩き方」の歩き方』(新潮社、2009)
 前者には、観光ガイドブックの3類型が載っているそうだ。

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 ところで、全然関係ないが、最近授業でチキさんの本をみんなで読んでいて、「るるぶ萌え版」正確には、「もえるるぶ」?ってのが出てきて、こんなの本当にあるんか??という話になった。第一、男子は、「るるぶ」というジャンルを知らないのだ。
 ま、それはともかく、山口さんの本には、「もえるるぶ」も分類されているのかな?(すでに岩波的文化から逸脱してしまった私・・・)

動画とツイッターと

 4月30日、博物館学1(概論)の授業で、事業仕分け博物館編ダウンロード版を学生さんたちに見てもらう。教室のPCでは案の上、内閣府行政刷新会議のページにリンクされているDMM.comサイトはブロックされた。お色気サイトなんだそうな。日本政府も、随分変わったものである。でも、なぜか、私のブログに貼り付けていたDMM.comのサイトには飛べるので、何のためにブロックしているのか謎である。
 学生さんたちには、紙を2枚渡して、1枚はメモ用、1枚は清書用にしてもらう。前半40分ほどを視聴してもらい、聞き取り&理解・要約の訓練。感想も書いて貰った。以下、少し部分紹介。

・評価者の方々の姿勢は、少なくともアンチで、こういう姿勢は必要なのでしょうが、とても嫌な感じがした。

・難しかった。何を言っているのかわからない所も多かったが、とにかくお金が足りていないというのは分かった。現在、日本の美術館はいい方向に向かっているから、これからも頑張ってね、・・・という感じなのかな? 質問者の聞き方が悪いなと何度か思った。

事業仕分けを見て、時間がないので、同じ事を何度も言っているのが、もったいないと思いました。それに質問と回答が合っていないので、不思議でした。

運営費交付金だけでは目玉となる美術品の購入ができないのに、六本木に350億円も使って博物館をつくっている。その金を美術品の購入にあてたらいいと思った。

・国として、文化財・美術品を大切にし、文化の発展を望んでいるようだが、具体的な仕組みや制度は、他国に比べると劣っているのだなあと思った。私は今まであまり行ったことがないが、購入資金の充実も含め、改善してほしいと思った。

・途中で、美術品の保険料を日本は1億だとか3億だとか、払わなければいけないとありましたが、あれはなんなんですかね? 

 1回生が中心で、まだ4回目の授業(ちょうど、国立館・独立行政法人の説明を簡単にしたところだったのでグッドタイミング)だが、内容は、こちらが思ったよりよく聞き取れていた。

 さて、GWに突入して、みなかさんの日録を読んでいたら、面白い動画を発見。

 がんばる独法の一般公開の様子なのだが、Ustreamの中継録画らしい。きれいなお宝本がいっぱい。で、こういう感じで、授業なんかを動画にしてしまうと、面白いかも。もちろん魅力的なネタがないと、ダメなんだけど。博物館の教育普及事業も、こんなふうに動画にアップすると面白いのでは。
 それで、授業で使うツイッターなんて話を読んでしまうと、ちょっと、やってみようかな、と。
 おまけに、齋さんのブログに、

最近、ツイッターとかいう短いブログへの参加を誘われた。僕はしない。大切な事を一言で言えと迫り,結局短い文でつぶやきをやり取りした結果この世界だ、の想いが強くある。大切な事は短くは言えないし、そうしてしまうと正しく伝わらない。一方,短く呟いてしまう内容をきちんと考えてみてそのつぶやきの裏側まで文章化する努力。そうする事によってのみ見えてくる世界は多い。

とあるのを読むと、逆にへそ曲がりの私は、「ツイッターやらない」の自説(中毒になりそうだから)を曲げた。
 というか、今まで、楽しみに読んでいたブログの書き手の皆さんが、ツイッターにシフトしていくので、それ、読んでみたいなあ、という。
 で、お作法はまだよく分からないのだけど、書くのが簡単なので便利。未知の領域なので、今は探検の気分。
 さっそく、「アクア・トトぎふ」のツイッターをフォローしてみた。しばらくして先方からもフォローが来てびっくり! こういうので、マーケティングしているのかな?
 私としては、「アクア・トトぎふ」をフォローしている人の中から、お魚好きさんをちょっと探してみたり・・・。新しいゆる〜い、博物館つながりの形成か??

水槽のその後/事業仕分け

 緩やかに連休が始まった。と言っても、金・土は授業。
 デカ君の松かさ病は、一向によくならない。グリーン・F・ゴールド・リキッドの薬浴を1週間弱、その後、ココア浴を1週間弱。ココアを食べてよく糞をしたのは、結局、前回ブログにアップした日だけだった。だんだん水槽が汚くなってきたので、目の細かい網で沈殿したココアを掬いあげ、徐々に薄い塩水に移行。その後、塩分も抜いて、今はカルキ抜きした水に「たね水」を加えただけ。デカ君、食欲もあまりない様子で、ほぼ絶食状態。ひどく悪化した訳ではないが、体に艶がなくなった感じで、鱗は相変わらず逆立っている。治療は難しそうなので、いかに老後のQOLを上げてやるかだろう。デカ君は、推定昨年の5月生まれ。
 本水槽の方は、こまめに換水をして、「たね水」を加えた効果か、3月初めには瀕死の状態になったホクロ君が、今では隅に隠れずに広い場所で泳げる程度に、元気を回復した。高齢の初代オス(推定昨年の6月生まれ)は、水草の茂みに乗っかるように浮遊して過ごす時間が大半だ。初代オスは単純に老いを迎えたのだろう。
 『プロファイル100 グッピー総論』(ピーシーズ、2008年)の中に、「治療できる理由は不明であるが、日本動物薬品社から市販されている「たね水」はこのカラムナリス症の予防と治療にかなり効果がある」(43頁)と書かれている。カラムナリス症だったのかは不明だが、ホクロ君には、これが効いたのかもしれない。

 そんなこんなで、朝な夕な、水槽の水換えに励む日々。60cm本水槽のコケ問題の解決は、まず底床改良からと考え、新たに大磯砂を洗って、表に干した。酸処理をして、砂を足す予定だ。本当は底床全部をリセットしたいのだが、50匹を越える大小のグッピーを全部を掬い上げる作業は、想像すらしたくない。

 水に浸けていたシポラックスも、今日、煮出しをした。1時間くらい煮沸をするので、その間、事業仕分け第2弾、国立館分をダウンロードしてみていたポイントは、1.資料購入のために、フローの運営費交付金ではなく、借入をするなりして弾力的な資金繰りはできないのか? 2.YS11の保存に年間900万円も使っているのなら、公開してはどうか、3.レストラン等店舗用地賃借が関連財団等に随意契約になっているのは見直せないのか?の3点と理解した。ちょっと、カチンと来たのは、改革推進局側が、資料購入費の使途として、一点豪華主義の目玉美術品購入を念頭に置いていたこと。説明人の側のパネルも、独法化後、入館者数が増えたことをアピールしたのはともかくとして、世界の美術展の中で、入館者数上位4位までが日本の国立館の展覧会、とアピールしていた点。
 まるで、超過密水槽の中にいるグッピーのような、人の頭しか見えないような、長蛇の列に並ぶような展覧会がよいかのような・・・って、まさか本気でそんなことを思っているわけではないよね。

 30分ほど見て、途中で見るのを止めてしまったが、1の論点は面白いと思った。何を買うかはともかくとして、資産の持ち方として、長期投資なのだから積極的に借金をしたらどうだ、という話。バランスシートに長期負債がなく、ほとんど純資産ばかりだ、と。説明者(文化庁)側からは、独法には、大きな買い物をするために、目的積立金制度があるが、第一期には、目的積立金が認められたが、第二期には、目的積立金の認定の基準がきつくなり、積み立てが認められていないという話があった。
 独法という形ではなく、美術、博物、科学の基金を設定して、目標を定めて戦略的に資料購入に資金を充てたらいいのでは、という方向へ話は展開した。

 と書き出して面白くなってきたので、続きを聞き始めた。
 青柳先生のお話。「世界の美術品が高騰している。中国・韓国が大変な勢いで購入しているので、(国立4館が物品購入費を融通し合って)1億円ほどを上乗せてしも欲しいのには手が届かない」 
 質問「長期投資として借入して美術品を購入するという方法は他国ではとっていないのか?」 
 青柳「ルーブルやロンドンのナショナルギャラリーがどのような基金でやっているのかは分からないが、テートモダンは宝くじの協会からの補助金が活用されている」←これ、質問に答えていませんよね。
 説明者「ルーブルは最近20億円の作品を買ったが、民間から寄付を集めて買っている」←これ、墓穴?? 

 ところで、借金して資料を購入というのは面白い話だが、よく考えてみると、営利企業なら収益を上げて負債を返済する。営利を目的としない博物館・美術館は、どうやって借金を返済するのかな??

 ここで、話は天下りの話に。科博の館長が文科省OBだという件は深く追求されず、肩すかし。

 そして、展覧会費用の話。青柳先生が美術品国家補償制度の話を始めるが、コーディネータに遮られる。まあ、これは質問(展覧会の期間を延長して収益を上げられないか)に答えたあとに、つい、思いの丈を述べてしまった、という青柳先生の熱意か。

博物館(文化財機構)と美術館の棲み分け(年代区分)の質問。説明人もごもご(ここがきっちりと説明できないとダメでしょう!)。「石器時代から明治時代まで」「それは世界的な傾向か?」「はい、だいたいそういう傾向です」←ウソやろう、それは。

 上げ足取りはやめておくとして、ここまでの話の大筋は、“コレクションの収集にもっとお金が必要だという認識は、ここにいる皆、共有している。国民に理解が得られるように努力しつつ、三独法共通で、あるいは基金のような形で現在の独法とは違う形を考えてはどうか”という話だったと思う。

 YS11の話は省略。YS11を科博が持っているなんて、今回取り上げられるまで知らなかった。なぜ、こんなにYS11の話で盛り上がるのか、最初は不思議だったが、よく聞いていると突っ込みの意味は理解できてくる。私は今更YS11を飛ばすの(動態保存というのか)は危険だと思うけど、深く考えずにYS11を引き受けて、関係費用を毎年900万円出し続けるのはどうなの・・・という話だろう。計画性のなさ(構想に対してお金がいくらかかるかの計算は当初あったのか)に突っ込みが入っていた。ここにはYS11保存問題だけでなく、日本の公共施設が長期的な運営・維持費を考えずに建設されてきた、というディープな問題が存在している。

 最後にレストラン・ショップの随契の話。立地条件が悪く、利潤が上がらない。そこを理解ある経営者をどれだけ探して来られるか。それを探してこられるなら、天下りの館長でもいいと思う、と蓮舫議員。美術館は企画競争で進めている、という話。賃料の設定の仕方(固定賃料と歩合制)など。この3番目の話は、自己収入を増やすためにどうするのかという話・・・ここは仕分け人の発想が陳腐。

 独法になってから入館者数が増えたのはなぜか、という質問。
 海外の制度をよくご存じでないようなのでもっと調べるように、という叱咤(これは本当にそうだと思う。そういう問題に興味を持ち、かつ横文字調査ができる能力がある研究者がこの分野に少ないのが非常に大きな問題だと思う。) 
 海外からのビジターを増やすための努力は、という質問。青柳先生、羽田にできる新国際ターミナルに、オランダ・スキポール空港内国立ミュージアム分館のようなパイロットミュージアムを作りたいとのこと、実現できるといいですね。



【追記】先ほど、デカ君が☆になった。夜、暗闇の中で、エアーストーンの横で逆立ちしているのを発見。ヒレはまだ動いていたが、次に見たとき、もう水中を逆立ちのまま、漂っていた。あっけなく、でも苦しむ姿を目にすることなく、天寿を全うしてくれたのだと思う。120匹を超すかわいい子孫を残してくれてありがとう!